窃盗、詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、いわゆる車上荒らし2件を敢行し、窃取したA名義のクレジットカードを使用して、那覇市内の店舗でたばこ2点(販売価格合計1380円)をだまし取った。検察官は、詐欺罪に加え、組織的犯罪処罰法(組処法)10条1項前段の犯罪収益等取得事実仮装罪でも起訴した。原審(那覇地裁)は、詐欺罪は有罪としたものの、犯罪収益等取得事実仮装罪については罪とならないと判断し、懲役1年2月・執行猶予3年を言い渡した。これに対し検察官が控訴した。 【争点】 他人名義のクレジットカードを用いた詐欺において、なりすまし行為や売上票への署名行為が、組処法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した」に該当するか。 【判旨(量刑)】 原判決を破棄し、懲役1年6月・執行猶予3年を言い渡した。 福岡高裁那覇支部は、原審の組処法10条1項前段の解釈適用に誤りがあると判断した。原審は、売上票の存在・内容という外観は他人名義のクレジットカードを用いた詐欺において不可避的に発生する必要最小限のものであり、詐欺罪の欺罔行為の中で評価し尽くされるとして、犯罪収益等取得事実仮装罪の成立を否定していた。 これに対し高裁は、同罪の「事実の仮装」該当性は、当該行為を客観的・外形的にみて取得の原因又は犯罪収益等の帰属につき事実を仮装したと評価できるかという観点から判断すれば足りると判示した。被告人が他人名義のクレジットカードを提示し売上票に署名した行為により、名義人が正当な利用権限に基づきカードシステム所定の方法で商品を取得したとの外観が作出されたことは明らかであり、取得の原因及び帰属につき事実を仮装したものと評価できるとした。詐欺罪と犯罪収益等取得事実仮装罪は保護法益が全く異なるため、両罪が成立することは不当ではないとも述べた。量刑については、車上荒らしの繰り返しや犯罪収益の捕捉が現に困難となった悪質性を指摘しつつ、前科がないこと、反省の弁、被害弁償等を考慮し、求刑どおり懲役1年6月・執行猶予3年とした。