AI概要
【事案の概要】 本件は、ノキア テクノロジーズ オサケユイチア(原告)が、「新無線における時間及び周波数トラッキング用参照信号の使用のための方法及び装置」とする特許出願について拒絶査定を受け、不服審判請求をしたところ、特許庁が補正を却下し審判請求不成立とした審決の取消しを求めた事案である。本願発明は、5G NR(新無線)の物理層設計に関し、トラッキング用参照信号(TRS)の目的のために使用されるCSI-RSリソースセットについて、RRCシグナリングを介してネットワークから表示を受信するための手段を備える装置に関するものである。 【争点】 主な争点は、①本願補正発明と引用発明(3GPP会合文書)の一致点・相違点の認定の誤りの有無、②相違点の容易想到性の判断の誤り、③本件審決における判断遺脱・理由不備の違法の有無である。特に、引用発明のUEが「単一シンボルCSI-RSリソースの集合の一部を示す情報を受信する手段」を有するか、また本願補正発明における「CSI-RSリソースセット定義の一部」としての「表示」の解釈が中心的争点となった。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず争点①について、引用発明のUEはTRSのRRC設定を受信するものであり、TRSの設定はCSI-RSと同じシグナリングメカニズムで行われることから、CSI-RSリソースの一部がTRSとして設定されたことを示す信号を含むRRCシグナリングを受信する手段を有すると認定した。また、本願補正発明の「表示」は「CSI-RSリソースセットの定義情報の一部を構成する情報」と解されるから、「CSI-RSリソースセットの一部」を示すものであるとし、審決の一致点・相違点の認定に誤りはないと判断した。争点②について、引用発明から相違点に係る構成に容易に想到できたとし、争点③について、一の請求項に拒絶事由が認められるときは出願全体を拒絶査定でき、他の請求項について判断を要しないとして、判断遺脱・理由不備の違法はないとした。