損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(原告)は、発明の名称を「モールドコイルの製造方法」とする特許権を有する者であり、被控訴人(被告・株式会社埼玉村田製作所)の海外子会社が同特許発明の技術的範囲に属する方法で製造したモールドコイルについて譲渡、譲渡の申出及び輸入をしたとして、被控訴人に対し、共同不法行為に基づく損害賠償(1500万円)及び不当利得返還(5000万円)を請求した事案の控訴審である。原審(東京地裁)は、被告方法が本件発明の技術的範囲に属するとはいえないとして請求を棄却していた。 【争点】 主たる争点は、被告方法が本件特許の構成要件F(排出した磁性体モールド樹脂がキャビティ内に充填した磁性体モールド樹脂よりも相対的に磁性体粉末の容積比が低いこと)を充足するか否かである。控訴人は、最大粒子径より小さなバリがあれば磁性体粉末容積比(バリ)が磁性体粉末容積比(コア)より小さくなることは原理的に明らかであると主張し、実験結果(甲27)やバレル研磨跡からのバリ幅の推認等を根拠として構成要件充足を主張した。 【判旨】 知財高裁は、原判決を維持し、控訴を棄却した。裁判所は、構成要件Fの充足を認めるには、被告方法で被告製品を製造する過程における磁性体粉末容積比(コア)と磁性体粉末容積比(バリ)を実際に測定・比較して後者が小さいことを示す必要があるが、これを示す証拠がないと判断した。控訴人の原理的主張については、磁性体粉末の粒子径・形状・分布、樹脂の性質、隙間の形状等により挙動は変化し、一義的に明らかとはいえないとした。甲27の実験についても、条件が実際の被告方法と同一と認める証拠がなく、バレル研磨跡からのバリ幅推認も隙間の幅・形状等が不明であるとして、いずれの主張も退けた。