障害年金不支給処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 気分変調症、社会不安障害及び広汎性発達障害を有する原告(昭和61年生まれの男性)が、障害認定日(平成22年8月19日)を受給権発生日とする障害基礎年金の裁定請求をしたところ、厚生労働大臣から障害等級1級又は2級に該当しないとして不支給処分を受けた。原告は大学在学中に就職活動を契機に症状が悪化し、対人恐怖や抑うつ状態により大学に通学できなくなり、アパートに引きこもる生活を送っていた。なお、事後重症による障害基礎年金(障害等級2級16号)については別途支給裁定を受けている。原告は本件不支給処分の取消しと、障害認定日を受給権発生日とする障害等級2級の障害基礎年金の裁定の義務付けを求めて提訴した。 【争点】 障害認定日(平成22年8月19日)における原告の障害の状態が障害等級2級に該当するか否か。被告は、原告は引きこもりぎみではあったが必要に応じて外出等も可能であり、日常生活における身の周りのことは基本的に一人で行うことができたとして、等級判定ガイドラインに照らせば3級が目安になると主張した。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも認容した。主治医であるC医師が1年半にわたり1〜2週間に1回の診察を通じて原告の日常生活状況を最も詳細に把握していたとして、本件診断書の「日常生活能力の判定」欄及び「日常生活能力の程度」欄の記載には信用性があると認定した。診断書の記載を等級判定ガイドラインの表1に当てはめると判定平均約2.86点・程度⑷で障害等級2級が目安となること、原告が障害認定日頃に対人緊張・抑うつ状態・意欲低下が著明でほとんど外出や他人との接触をせず居室内に引きこもる生活を継続し、継続的な薬物治療によっても改善しなかったことから、障害認定基準における気分(感情)障害の2級の例示に該当すると判断した。被告が提出した医師の意見書についても、気分変調症等の通常の症状を記載したにすぎず、原告の具体的な障害の状態を覆すものではないとして排斥した。
裁判要旨
障害認定日において独居していたものの、初診日から障害認定日までの1年半、対人緊張が強く、抑うつ状態を呈し、意欲低下が著明な状態にあり、これらにより、ほとんど外出することや他人と接触することをせず、居室内に引きこもり、居室内でもほとんど活動することなく過ごす生活を継続し、継続的な抗うつ薬の服薬等の気分変調症や社会不安障害にも用いられる治療方法によっても改善されなかったなど判示の事情の下では、障害認定日における気分変調症及び社会不安障害による障害の状態は障害等級2級に該当し、障害認定日における障害基礎年金を支給しない旨の処分は違法である。