国家賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人ら(市民約29名)が、①平成26年7月の集団的自衛権行使を容認する閣議決定、②平成27年5月の平和安全法制関連2法の法律案の閣議決定、③同法律案の国会提出、④国会での可決(以下「本件立法等行為」)によって、平和的生存権、人格権又は人格的利益、憲法改正・決定権を侵害され精神的苦痛を被ったと主張し、国に対し国家賠償法1条1項に基づく慰謝料(各10万円等)の支払を求めた事案である。原審(差戻後の第一審)が請求を棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 本件立法等行為により、(a)平和的生存権、(b)人格権又は人格的利益、(c)憲法改正・決定権が侵害されたか。また、予防・事前配慮原則に基づき、具体的危険の発生を待たずに違法性を認定すべきか。 【判旨】 高松高等裁判所は、控訴をいずれも棄却した。まず、予防・事前配慮原則に基づく主張について、本件は控訴人ら各人が精神的損害の金銭賠償を求める事案であり、被害発生を確実に予測できず具体的危険性も存在しない以上、精神的損害の発生を認定して金銭賠償を認める理由はないとした。平和的生存権については、憲法前文は基本的精神・理念の表明であり、憲法9条も統治機構に関する規範であって、いずれも具体的権利の直接の根拠とはならず、憲法13条を根拠としても「平和」の概念自体が抽象的で具体的権利として保障されているとは解せないとした。人格権又は人格的利益についても、控訴人らの主張する利益は理念や目的としての抽象的概念にすぎず、主観的価値観により内容が大きく異なるため、具体的権利として保障されているとは解せないとした。憲法改正・決定権については、憲法96条1項は手続的事項を定める規定であり具体的権利を保障するものではないこと、また政府の解釈変更により客観的な憲法規範が変更されることはなく、憲法解釈の最終的決定権は司法に属する(憲法81条)ことから、控訴人らの主張は前提を欠くとした。