AI概要
【事案の概要】 本件は、A市議会議員であった被告人が、同市発注の新火葬場整備事業建設工事(請負代金約24億6600万円)に関し、地元建設業者であるB社とD社との間で、B社のJVが本件工事を受注し、D社は別の防災市民センター工事を受注するという受注調整(談合)が行われていることを認識しながら、市議会においてB社JVとの工事請負契約締結に係る議案の可決に異議を唱えず賛成するという職務上不正な行為をした上、その謝礼等の趣旨で2回にわたり合計7500万円の現金を収受したとして、加重収賄罪に問われた事案である。 【争点】 主な争点は、(1)被告人が受注調整の存在を認識しながら議案に賛成したか(職務上不正な行為の有無)、(2)被告人が賄賂を収受したといえるか(金員の趣旨と認識)、(3)公訴権濫用の有無の3点であった。弁護人は、被告人は受注調整に関与しておらずそれを知らずに議案に賛成したものであり、受領した金員は貸金や選挙資金であって賄賂ではないと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、B社代表取締役C、D社代表取締役E及びD社従業員Qの各証言について、手帳の記載やメール等の客観的証拠との整合性を詳細に検討し、いずれも信用性が高いと判断した。これらの証言から、被告人がCの依頼を受けてEに受注調整を提案・仲介したこと、発注方式のDB方式への変更を後押しする行動をとったこと、参加要件の変更についてもCらから働きかけを受けていたことが認定され、被告人は本件受注調整を認識しながら議案に賛成したと認めた。また、7500万円の金員についても、市議会議員としての職務に関する対価であり賄賂の趣旨であると認定した。ただし、不正行為は議案に異議を唱えず賛成したことにとどまり、積極的に発言した事実や賄賂の約束の下で行った事実はないことを考慮した。公訴権濫用の主張も退け、求刑懲役7年に対し、被告人を懲役4年(未決勾留300日算入)に処し、現金2300万円の没収及び5200万円の追徴を命じた。