AI概要
【事案の概要】 学校法人が運営する大学で非常勤講師として約16年間勤務し、労働契約法18条1項に基づき無期転換した原告が、被告から一方的に担当コマ数を削減されて賃金を減額され、さらに令和3年3月末をもって労働契約の終了を告げられたことについて、労働契約上の権利を有する地位の確認及び未払賃金等の支払を求めた事案である。被告は、留学生の受入方針の転換やカリキュラム改編により原告に担当させる授業がなくなったとして、契約の当然終了(主位的主張)又は整理解雇としての普通解雇(予備的主張)を主張した。 【争点】 ①無期転換後の労働契約が担当コマ数ゼロにより当然終了するか、②普通解雇(整理解雇)として有効か、③担当コマ数が労働契約法18条1項の「労働条件」に含まれるか、④令和2年度の担当コマ数削減の有効性及び未払賃金額。 【判旨】 裁判所は、原告が労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、未払賃金約352万8000円及び将来賃金の支払を命じた。まず、契約の当然終了について、無期転換した労働契約の本質は期間の定めなく継続することにあり、担当コマ数の決定権限を有する被告が次年度の授業を担当させないことで一方的に契約を終了できるとすれば、無期転換権を保障した法18条の趣旨に反するとして、被告の主位的主張を排斥した。次に、整理解雇の有効性について、人員削減の必要性は一概に否定できないものの、原告に代わって任期付き専任教員2名を新たに採用しており、原告も支援業務を担当する能力を有していたこと、被告が原告の意向を確認せず単に公募への応募機会を与えたにすぎないこと、契約終了の法的根拠を原告や労働組合に明確に説明しなかったこと等を総合考慮し、解雇回避努力及び手続の相当性を欠き、客観的合理性がないとして解雇を無効とした。未払賃金額については、担当コマ数自体は法18条1項の「労働条件」には含まれず無期転換権行使時のコマ数が固定されるものではないとしつつ、令和2年度の大幅なコマ数削減は社会通念上著しく合理性を欠く裁量権の濫用として違法無効と判断し、直近3年間の平均的な担当コマ数等に基づき月額18万7200円を基準として未払賃金を算定した。