AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者らと共謀の上、令和2年9月、仙台市内で故意に自動車の追突事故を作出し、複数の保険会社に対して対物賠償保険金、対人賠償保険金(休業損害・慰謝料・通院交通費等)及び医療保険金の支払を請求し、合計約665万円をだまし取った(詐欺)。被告人は事故作出のため自動車を運転する役目を担うなど重要な役割を果たした。また、被告人は、令和5年4月24日午前4時33分頃、仙台市内の交差点において、対面信号機が赤色信号を表示していたにもかかわらず、時速約96ないし100キロメートルで交差点に進入し、左方道路から信号に従って進行してきた被害者(当時61歳)の軽自動車に衝突させ、外傷性心破裂により死亡させた(危険運転致死)。 【争点】 危険運転致死の成立に関し、被告人が赤色信号を「殊更に無視」したか否かが争点となった。被告人は、本件交差点の2つ前のX交差点を赤色信号で通過した際、交差道路にパトカーが停車していたことに気づいてパニックになり、後方を振り返って確認するなどしていたため、本件交差点の赤色信号には直前まで気づかなかったと供述し、弁護人も殊更の無視ではないと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、X交差点通過後の被告人の運転状況(カーブ道路での車線変更を伴う追越し、ウィンカー操作等)から、被告人は基本的に前方を見て運転していたと推認した。北たもと交差点から本件交差点までは一直線で見通しがよく、薄暗い時間帯で信号の灯火は視認しやすい状況であったことから、遅くとも北たもと交差点付近で赤色信号を認識していたと認定した。それにもかかわらず約5秒間減速せず高速度で進行したことから、およそ赤色信号に従う意思がなかったと判断した。さらに、X交差点でも黄色信号を認識しながらブレーキを掛けず赤色に変わって約3秒後に進入しており、赤色信号を無視する運転態度が一貫していたとして推認を補強した。被告人の供述については、パニック状態で後方を振り返りながら運転したという点や、同乗者3名全員が見通しのよい場所の赤色信号に気づかなかったという点が不自然であるとして信用性を否定した。量刑については、危険運転致死の犯情がかなり悪く同種事案の中でも重い部類に属すること、詐欺の犯情も相応に悪いこと、慰謝の措置が全くなされていないことを指摘し、被告人が詐欺を認めて反省の態度を示していること、前科がないことなどを考慮しても、懲役12年(求刑懲役15年)が相当と判断した。