AI概要
【事案の概要】 被告人は、異母姉であるAを金にだらしない人物として嫌っていたところ、グループホームに入居する実母の介護費用やおむつ代をAが滞納し、妻から借金して立て替える状況が続いていた。令和6年1月20日、妻から「私って金づるなの」と問われたことを契機に、Aを殺害して自分も死のうと決意し、さらに金に汚いと思っていた義弟Bも殺害すれば妻らの遺産取得分が増えると考えた。翌21日、被告人は包丁3本(A殺害用・B殺害用・自殺用)や着替え等を周到に準備し、レンタカーでまずA方に赴き、会話中にAが立ち上がろうとした隙に首の後ろを包丁で刺し、後頭部や肩付近を複数回突き刺して殺害した(第1事件)。続いてB方に移動し、冷たい飲み物を取りに行かせて背後から腰付近を突き刺し、首や右側頭部を複数回刺したが、刃が骨に当たるなどしたことやBの抵抗により殺害には至らなかった(第2事件・殺人未遂)。このほか各犯行時の包丁の不法携帯(銃刀法違反2件)でも起訴された。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件が極めて計画性の高い残酷な犯行であり、殺意は非常に強固で長時間揺らいでいないと認定した。Aは突然首を刺され死亡し、Bも瀕死の重傷を負って一命を取り留めたものの後遺症に苦しんでおり、殺人未遂にとどまったのは偶然の結果に過ぎないとした。被告人が犯行当時、統合失調症の慢性期にあり、他者への共感の乏しさや犯行抑止力の低下に疾病の影響があったことは否定できないとしつつも、幻覚・幻聴なく日常生活を送り、周到に計画を立てて遂行できていること、妻に対しては強い共感を示していることなどから、通常の人と同等の非難を受けるべきであり、統合失調症を大きく酌むことはできないとした。また、妻の説得により110番通報した点は法律上自首が成立するものの、Bが動かなくなるのを見届けてから通報したもので真摯な反省からの自首ではなく、大きく酌むことはできないとした。被告人が犯行について「やり過ぎた」と述べるにとどまり反省の様子が認められないこと、再犯のおそれも否定できないことを考慮し、求刑どおり懲役25年を言い渡した。