再発防止処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 オウム真理教の後継団体「Aleph」(原告)は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)に基づく観察処分を受け、3か月ごとに構成員、活動用施設、収益事業、資産、出家信徒の位階等の報告義務を負っていた。しかし原告は、未成年構成員や一部在家構成員の氏名、複数施設の所在等、収益事業の種類及び概要、5つの預貯金口座を含む資産、出家信徒の位階について報告せず、公安調査庁の度重なる是正指導にも応じなかった。公安審査委員会は令和5年3月、団体規制法8条1項柱書き後段に基づき、13施設の6か月間の使用禁止及び金品等の受贈与禁止を内容とする再発防止処分(本件処分)をした。原告は、本件処分が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとして、100万円の損害賠償を求めた。 【争点】 (1) 団体規制法8条2項2号等の規定が憲法(信教の自由、結社の自由等)に違反し違憲無効か。(2) 本件処分が同法8条1項の要件(「報告がされ」ない場合、「危険性の程度を把握することが困難」)を満たすか。(3) 本件処分が裁量権の逸脱・濫用に当たるか。(4) 本件処分の手続に違法があるか。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず団体規制法の各規定について、使用禁止等の処分により禁止される行為は目的に照らして必要な範囲に限定されており、公共の安全確保のために必要な最小限度において適用されるものであるから、過度に広範な規制とはいえず合憲と判断した。次に、原告が報告しなかった構成員・施設・収益事業・資産・位階の各事項はいずれも要報告事項に該当し、原告の不報告は約1年間にわたる意図的な行為であって、立入検査でも原告の組織的な非協力により実態把握が困難であることから、「危険性の程度を把握することが困難」との要件を満たすとした。処分内容についても、施設使用禁止は資金的・人的要素に係る危険な要素の増大防止に、受贈与禁止は資産関係の解明に、それぞれ必要かつ相当であり、裁量権の逸脱・濫用はないと認定した。手続面でも、意見聴取期日の調整や証拠写しの交付に応じなかったことは公安審の裁量の範囲内であり、違法はないとして、原告の請求を棄却した。
裁判要旨
無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律8条2項2号、9条1項及び同条2項2号は違憲ではなく、原告について、団体の構成員の氏名及び住所、団体の活動の用に供されている土地及び建物、団体の資産等が報告されていないといえ、原告の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるときに該当するといえるから、同法8条1項の規定する再発防止処分の要件を満たすことが認められ、当該再発防止処分をすることが裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たらないこと及び当該再発防止処分に手続の違法がないことも認められるのであり、当該再発防止処分は適法で、国家賠償法1条1項の適用上違法となる余地はないから、同項に基づく損害賠償請求は認められない。