AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和5年12月から令和6年1月にかけて、三重県鈴鹿市内において、窃盗(万引き)2件、空き家への住居侵入1件、無銭飲食による詐欺1件、強盗殺人1件、侵入盗2件及び自転車の窃盗1件の合計8件の犯行に及んだ。被告人は、自らの意思で仕事を辞めて生活費に窮し、万引きや無銭飲食を繰り返すようになった。令和6年1月8日、金品を強奪する目的で、かつて同じアパートに住んでいた被害者(当時77歳)方を訪ね、十徳ナイフの刃を示して「車の鍵をよこせ」と脅迫した上、殺意をもって被害者の首を衣類で絞め付けて窒息死させ、軽四輪乗用自動車及び現金約2万5000円等を強奪した(強盗殺人)。その後も侵入盗等の犯行を繰り返した。 【争点】 弁護人は、被告人の殺意は未必的なものにとどまると主張した。被告人は、自身が服を首に巻いて自殺を図った際に気を失っただけで死ななかった経験から、被害者が死ぬかもしれないと思う程度であったと供述した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人が気絶した被害者の首に長袖シャツを二、三回巻き付け、服がとれないようにした上で自身の体重をかけて相当強い力で絞めたことから、被害者が確実に死ぬとわかっていたと認定し、未必的殺意にとどまるとの弁護人の主張を排斥した。被告人の自殺未遂の経験では首に巻いた服がとれていたのに対し、本件ではあえて複数回巻き付けており、状況が全く異なると判断した。殺害のやり方は被害者に非常に強い苦痛や恐怖を与える無慈悲かつ残虐なものであり、仕事をせずあえて犯罪を選んだ経緯に同情の余地はなく、強盗殺人後もなお侵入盗等を繰り返した点も看過できないとした。被告人は各公訴事実を認めているものの、殺意の点を始め犯した罪に真摯に向き合っておらず十分な反省は見いだせないとし、前科がないこと等を踏まえても情状酌量の余地はないとして、求刑どおり無期懲役を言い渡した。