特許権移転登録手続等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(わたつみ化研株式会社)は、資金難にあった被告会社(株式会社エステン化学研究所)を支援するために設立され、北海道大学との共同研究契約等を通じて「ハイドロゲル系新規防汚塗料の開発」プロジェクトを推進していた。原告は、被告P1(被告会社代表取締役・技術顧問)及び被告P2(北海道大学特定専門職員・コンサルタント)が、秘密情報を部外者や塗料会社に提供して本件プロジェクトを頓挫させ、研究場所から成果物を搬出したとして、共同不法行為に基づく損害賠償約1173万円、予備的に組合契約に基づく負担請求、秘密保持義務違反に基づく損害賠償、及び所有権に基づく動産引渡しを求めた。 【争点】 ①被告らがプロジェクトを頓挫させ成果物を搬出した不法行為の有無、②損害額、③原告主張の組合契約の成否、④組合契約に基づく被告らの支払義務の有無、⑤被告らの動産引渡義務の有無。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。争点①について、被告らが秘密情報を第三者に示して利用したとの原告主張は、具体的にどのような情報をどのように利用したのか主張上も不明であり、それ自体失当であるとした上、そのような行為を認めるに足りる証拠もないとした。研究場所からの退去についても、共同研究契約の終了に基づき原告の意思に沿って行われたものであり不法行為を構成しないとした。争点③について、組合契約の成立を認める証拠はなく、各契約はあくまで技術顧問契約やコンサルティング契約であって組合契約とする余地はないとした。争点⑤について、引渡し対象のうち「データ」は動産でなく請求が失当であり、紙媒体等も具体的な動産としての特定や占有の立証がないとして排斥した。なお、被告らは退去時にサンプル送付やデータ回答を行っており、契約上の義務は既に履行されたものとみられるとした。