暴行、暴力行為等処罰に関する法律違反、業務上過失致死
判決データ
- 事件番号
- 令和5(わ)4920
- 事件名
- 暴行、暴力行為等処罰に関する法律違反、業務上過失致死
- 裁判所
- 大阪地方裁判所
- 裁判年月日
- 2024年12月23日
- 裁判官
- 中井太朗
AI概要
【事案の概要】 被告人は、障害児通所支援事業所「B」の児童発達支援管理責任者として勤務していた。令和4年12月9日、重度の自閉症及び知的障害を有し、水に対する強い執着がある通所児童D(当時13歳)が、送迎車から降車した際に敷地外に飛び出し、事業所南側の川に飛び込んで溺死した(第1)。被告人は、Dが過去にも送迎時に逃走して水路に飛び込んだ前歴があったにもかかわらず、従業員2人での引率体制の整備や、駐車場門の閉門等の逃走防止策を送迎担当者Cに指導しなかった。また、被告人は令和5年2月23日から同年3月1日にかけて、同事業所に通所する別の児童G(当時15歳)に対し、バランスボールを顔面に投げ付ける、平手で殴る、バインダーで殴る、頭突きをする、他の従業員と共同して頭部を殴り顔面を蹴るなどの暴行を多数回にわたり加えた(第2ないし第6)。 【判旨(量刑)】 懲役1年10月・執行猶予4年(求刑:懲役1年10月)。 裁判所は、業務上過失致死について、被告人がDの特性や過去のヒヤリハット事例を把握しながら、従業員2人での引率体制の整備や駐車場門の閉門といった十分に実施可能な逃走防止策を怠ったことは、児童発達支援管理責任者として危機意識に欠けた対応であり、過失は重大であると判断した。送迎担当者Cの過失(逃走防止策を講じず被害者の動静を注視しなかった点)も競合しているが、Cの過失の背景には被告人の体制整備・指導の懈怠があり、被告人の過失はCよりも重大であると評価した。暴行事件については、約1週間に多数回にわたり、頭部を拳骨で殴り顔面を蹴るなど強度な暴行を加えており悪質であるとした。被害者は障害により被害を訴えることが困難であり、被告人は障害の影響による言動に立腹して犯行に及んだもので、動機に酌むべき点はないとした。被告人は事実を認めているが、Cに責任転嫁する供述をするなど真摯な反省は見受けられないとした。他方、前科がないこと、損害保険による賠償の見込み、示談申入れ、事業所閉鎖による失職等の社会的制裁を考慮し、執行猶予を付した。