損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 外国映画「ゾンビ」の日本語字幕翻訳者(第1審原告)が、字幕制作会社シネ・マイスターからの依頼に基づき本件各字幕を制作したところ、被告ら(スティングレイ、フィールドワークス、ハピネット)が本件各字幕を付したDVD及びブルーレイ商品を販売した。第1審原告は、字幕の利用許諾はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2010での上映の限度にとどまると主張し、著作権(複製権・頒布権)侵害及び著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権)侵害を理由に損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審は、DVD商品については黙示の許諾を認め著作権侵害を否定したが、ブルーレイ商品については許諾を認めず著作権侵害の成立を認めた。 【争点】 (1) 第1審原告は本件各字幕の複製及び頒布について許諾したか(争点1) (2) DVD商品における字幕の一部欠落が同一性保持権侵害に当たるか(争点2) (3) ばら売り商品に字幕翻訳者の氏名を表示しなかったことが氏名表示権侵害に当たるか(争点3) (4) 消滅時効の成否(争点4) (5) 販売元ハピネットの責任範囲(争点5) 【判旨】 控訴審は、原審と異なり、DVD商品に加えブルーレイ商品についても利用許諾が認められると判断し、著作権(複製権・頒布権)侵害を全て否定した。その根拠として、翻訳依頼時にDVD販売が前提とされていたこと、見積書に「VIDEOGRAM+TV」の記載があったこと、シネ・マイスターが「オールライツ・クリア」での交渉を指示し翻訳者がこれを了承したと認定したこと、販売後に別途許諾料を請求していないこと、別案件で「オールライツ込み」の条件を自ら承諾していたこと等を挙げた。一方、同一性保持権侵害(コメンタリー字幕の一部欠落)及び氏名表示権侵害(ばら売り商品7点に翻訳者名の不表示)は原審どおり認め、慰謝料として同一性保持権侵害につき1万円、氏名表示権侵害につき商品ごとに7万円(合計49万円)及び弁護士費用を認容した。結果、被告らの連帯支払額は第1事件1万1000円、第2事件53万9000円となり、原審のブルーレイに係る著作権侵害認容部分を取り消した。