使用差止め等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 渋川市(被告)の元職員である原告が、徳富蘆花記念文学館に展示されている解説パネルの解説文(本件解説文)及び映像付き脚本朗読作品「不如帰」の脚本(本件脚本)について、自己に著作権が帰属すると主張し、著作権法112条1項に基づく使用差止め及び民法709条等に基づく損害賠償金100万円の支払を求めた事案である。原告は過去にも同種の前訴を3件提起しており、前訴1では本件図録(編集著作物)の著作権が原告に帰属することが確認されていた。本件では、編集著作物である本件図録の著作権帰属と、その構成部分である言語の著作物としての本件解説文・本件脚本の著作権帰属が区別されるかが問題となった。 【争点】 1. 本案前の争点(前訴の既判力・信義則違反の有無) 2. 本件解説文及び本件脚本の著作権の帰属先(職務著作該当性) 3. 使用許諾に係る錯誤の有無 4. 消滅時効の成否 【判旨】 請求をいずれも棄却した。まず本案前の争点について、前訴2・前訴3とは訴訟物が異なるとして適法な訴えと認めた。次に著作権の帰属先について、前訴1判決が確認したのは編集著作物としての本件図録の著作権であり、著作権法12条2項により編集著作物の著作権はその構成部分の著作物の著作者の権利に影響を及ぼさないから、本件解説文に係る著作権には前訴1判決の既判力は及ばないとした。その上で、被告が文学館開館前に展示計画検討委員会を開催し展示テーマを協議していたこと、原告が学芸員として採用後約7か月かけて本件パネルや映像作品を製作したこと等から、本件解説文及び本件脚本は著作権法15条1項の職務著作に該当し、著作権は被告に帰属すると認定した。原告の「採用前に創作していた」「請負作業であった」との主張はいずれも客観的証拠を欠くとして排斥し、その余の争点について判断するまでもなく請求を棄却した。