傷害致死被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和4年2月4日午後11時頃、千葉県我孫子市の自宅において、実子である当時3歳の被害者に対し、その頭部を覆うように全身を大人用の掛け布団で何重にも巻いた上、さらにその周囲を敷き布団でも巻いて約17分間放置する暴行を加えた。被害者は鼻や口が布団で完全に覆われて身動きできない状態となり、吐物吸引による窒息により死亡した。被告人は、家事や育児を基本的に一人で担う中、近隣住民からの騒音苦情や児童虐待を疑った市役所職員の訪問を受けたことなどから、被害者が泣いた際に手っ取り早く静かにさせる手段として、以前から月1回以上の頻度で被害者を布団で巻く行為を繰り返していた。本件当日も、被害者がトイレトレーニングの失敗で泣き、階下から天井を突かれたことなどから、被害者を静かにさせようとして犯行に及んだ。 【判旨(量刑の理由)】 裁判所は、本件犯行が3歳児を布団で巻いて約17分間放置したもので、窒息死させる危険性が高い行為であったと認定した。被告人が家事・育児を一人で負担し、過去のいじめ経験から人間不信が強く行政等に頼れなかった事情は理解できるとしつつも、保育園を十分利用できなかったのは動画編集の仕事にのめり込んだことも一因であり、実家に援助を求めることも可能であったと指摘した。また、元夫が布団で巻く行為を黙認し、本件当日も肯定したことで抵抗感が薄れた面は考慮すべきとしながらも、被告人は過去の経験から布団で巻く行為が身体に負担をかけることを認識していたはずであり、他の適切な方法を検討すべきであったと判断した。以上から、弁護人主張のように精神的に追い詰められた衝動的犯行とはみることができず、なお非難に値するとした。前科のない者による傷害致死の同種事案(単独犯・児童虐待)の中で中程度より軽い位置づけとしつつ、執行猶予を付すべき事案とまではいえないとし、自首や反省の態度、母親の支援の誓約等も考慮の上、求刑懲役6年に対し懲役3年(未決勾留300日算入)を言い渡した。