AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社リンレイ)が、被告(株式会社九州ハイテック)の保有する特許(特許第6065247号、発明の名称「積層型無機系保護コーティング塩化ビニル系タイル及びそのコーティング方法」)について特許無効審判を請求したところ、特許庁が請求不成立の審決をしたため、その取消しを求めた事案である。本件特許は、塩化ビニル系タイル表面にガラス質無機系保護コーティング層を形成し、トップコート層の鉛筆硬度を10H相当以上としつつ、タイル端部の反りを1mm以下に抑えることを特徴とするものである。 【争点】 (1) 進歩性違反(甲3文献を主引用例とする容易想到性)、(2) サポート要件違反、(3) 明確性要件違反、(4) 実施可能要件違反の各判断の誤りの有無。 【判旨】 裁判所は、全ての取消事由について原告の主張を退け、審決を維持した。進歩性(争点1)について、甲3発明はタイルを床に接着し設置済みの状態を前提とする施工マニュアルであるのに対し、本件発明1は設置前のタイル自体の変形(反り)を測定対象とするものであり、課題解決の前提を異にすると判断した。甲3文献にはタイル端部の反りの具体的数値範囲の言及や示唆がなく、他の文献にも同様の記載がないため、相違点2C(タイル端部の反り1mm以下)に係る構成の容易想到性は否定された。サポート要件(争点2)について、本件明細書には実施例6の表6等により課題解決手段の具体例が示されており、要件を充足すると判断した。明確性要件(争点3)について、鉛筆硬度の測定方法はJIS規格や技術常識から当業者が理解可能であり、第三者に不測の不利益を及ぼすほど不明確とはいえないとした。実施可能要件(争点4)についても、明細書に製造に十分な説明があるとして、いずれも原告の主張を排斥し、請求を棄却した。