AI概要
【事案の概要】 原告(中川製袋化工株式会社)は、「エンボスを有する袋」に関する発明について特許出願をしたが、拒絶査定を受けたため、拒絶査定不服審判を請求した。本願発明は、袋またはフィルムの一部又は全面に、インクを用いずにロゴマークを表現したストライプ状の凹凸の列(単位エンボス)を有し、凹凸の周期が0.1μm以上1mm以下、高さが0.1μm以上0.1mm以下であることを特徴とするものである。特許庁は、本願発明は引用発明1(梨地部位と平滑部位のコントラストにより図柄を表現するプラスチックフィルム)及び引用文献2記載事項(プレスロールによる波付け成形方法)に基づき当業者が容易に発明できたとして、審判請求を不成立とする審決をした。原告は本件審決の取消しを求めて提訴した。 【争点】 引用発明1に引用文献2記載事項を組み合わせることについて、(1)阻害要因の有無(引用発明1の「梨地部位」は必須の課題解決原理であり、ストライプ状の凹凸に置き換えることは課題解決原理を没却するか)、(2)組合せの動機付けの有無(引用文献2のプレスロールによる波付けを引用発明1の局所的な図柄表現に適用する動機付けがあるか)が争われた。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず阻害要因について、引用発明1の「梨地部位」と引用文献2の「複数の波の列」は、いずれも印刷工程を設けることなくフィルム表面上に微小な凹凸を形成することで模様を表現するという共通の作用・機能を有するものであるから、「梨地部位」を「複数の波の列」に替えても引用発明1の課題を解決し得るとし、阻害要因を否定した。次に動機付けについて、引用文献2には円筒ロールに切欠き部を設けてピアノ線を密接巻回する構成が開示されており、切欠き部ではフィルムに波形が形成されないことから、円筒ロール面をロゴマーク等の局所的模様としその他を切欠き部とすれば局所的模様に対応した波形を形成できることも当業者が容易に想到し得ると判断した。凹凸の数値範囲についても、両者の重複範囲があり、視認性等に応じて当業者が適宜選択し得る設計事項にすぎないとして、本件審決の進歩性否定の判断に誤りはないと結論づけた。