AI概要
【事案の概要】 本件は、商標登録無効審判請求に係る審決取消訴訟である。原告は、「マイオフォーカス」「MYOFOCUS」の文字を上下二段に構成した商標(本件商標)の商標権者であり、歯科矯正器具の輸入販売等を行うオーティカ社の支配株主である。被告は、オーストラリアで設立された歯科矯正関連の会社であり、2017年9月以降、オーストラリアにおいて「mYofocUs」等の被告各商標を使用していた。被告が本件商標の登録無効審判を請求し、特許庁が商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとして登録を無効とする審決をしたため、原告がその取消しを求めた。 【争点】 本件商標が商標法4条1項7号(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標)に該当するか。具体的には、(1)原告が被告各商標を剽窃して本件商標を出願したといえるか、(2)その出願経緯に社会的相当性を欠くものがあるか、(3)被告の無効審判請求が信義則に反するかが争われた。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず、関連原告商標と被告商標1は、図形部分、文字構成、フォント、配置、色彩がほとんど同一であり、独自に創案されたことを示す証拠がない限り偶然の一致とは認められないとした。次に、原告が商標の作成時期(2015年10月)を裏付けるために提出した領収書について、貼付された収入印紙が2018年7月以降のデザインであること、原告の主張が変遷していること、再発行された領収書の原本も紛失したとする説明が不自然であること等から、信用性を否定した。また、原告が商標使用の証拠として提出したチラシについても、専門印刷業者の制作ではなく後日作成が可能であること、価格表示の矛盾等から、記載されたセール期間に制作・頒布されたとは認められないとした。以上から、本件商標は被告各商標を剽窃したものと認定し、被告の日本進出を妨害する目的で出願されたものであって、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くとして、商標法4条1項7号に該当するとした審決の判断に誤りはないと結論づけた。