AI概要
【事案の概要】 原告(米国法人アーシャ・ニュートリション・サイエンシーズ・インコーポレイテッド)は、「最適化された栄養処方物」に関する特許出願について拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は審判請求を不成立とする審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した。本願発明は、ω-6脂肪酸および抗酸化剤(ポリフェノールを含む)の混合物を特定の用量範囲で含む包装された栄養製品に関するものである。審決は、①補正却下(特許法17条の2第5項違反)、②補正による新規事項の追加(同条3項違反)、③分割要件違反を前提とする引用発明1に基づく進歩性欠如、④引用発明2に基づく進歩性欠如の各理由により本願を拒絶すべきと判断した。 【争点】 主な争点は、(1)請求項18に係る補正却下の当否、(2)請求項1の「平均1日量で1~40gのω-6脂肪酸および1日当たり25mg~10gの抗酸化剤の用量を集合的に提供し、抗酸化剤の用量は少なくとも1日当たり5mgの1以上のポリフェノールを含む」との記載が新規事項に該当するか、(3)引用発明1に基づく進歩性の有無、(4)引用発明2に基づく進歩性の有無である。原告は、明細書中にω-6脂肪酸・抗酸化剤・ポリフェノールの各用量が個別に記載されており、これらを組み合わせた記載は新規事項ではないと主張した。 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却した。まず取消事由1(補正却下)については、請求項18の補正は請求項1に係る発明を変更するものではなく、請求項1の進歩性が否定される以上、結論に影響しないとした。取消事由4(引用発明2に基づく進歩性)について、裁判所は、引用文献2にはω-6脂肪酸の用量範囲(1~35g)や、ナッツ・種子によるポリフェノール供給、抗酸化物質等の均衡のとれた成分を含有する組成物とすべきことが記載されており、過剰摂取が有害となり得ることも繰り返し指摘されていることから、相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が容易になし得た設計的事項の範囲内であると判断した。また、本願翻訳文等にはω-6脂肪酸・抗酸化剤・ポリフェノールの1日当たりの摂取量が個別に記載されているにとどまり、これらを特定用量で組み合わせて集合的に提供することの記載も示唆もないとして、原告主張の阻害要因も認められないとした。取消事由4に理由がない以上、取消事由2・3について判断するまでもなく、審決に取り消すべき違法はないと結論づけた。