株主権行使に関する財産上の利益供与に係る返還請求事件、同共同訴訟参加事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 京都新聞グループの持株会社である原告HD、その子会社である原告KIP及び原告プロパティーズが、各社の相談役であり原告HDの大株主でもある被告に対し、相談役報酬及び管理人費用の支払が、株主の権利の行使に関する財産上の利益の供与(会社法120条3項)に当たるとして、その返還を求めた事案である。原告HDは相談役報酬約3億1410万円及び管理人費用約9215万円、原告KIPは相談役報酬約6451万円、原告プロパティーズは相談役報酬約4020万円の各返還を請求した。被告は、京都新聞社の創業家(A家)の当主の妻であり、夫の死後、発行株式総数の25%以上の株式について権利行使が可能な大株主となっていた。 【争点】 ①相談役報酬の支払が利益供与に当たるか、②迎賓館(a山荘)の管理人費用の支払が利益供与に当たるか、③被告が悪意の受益者に当たるか。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも全部認容した。争点①について、昭和60年に被告と当時の代表取締役との間で、被告が経営に口を出さない代わりに金銭を支払う旨の合意(本件合意)が成立したと認定し、相談役報酬の支払は被告の株主権不行使の見返りであり利益供与に当たると判断した。また、被告はほとんど職務を行っていなかったにもかかわらず高額な報酬を受領しており、会社法120条2項後段により利益供与が推定されるとした。争点②について、a山荘が社用に利用されなくなった後も24時間体制で管理人が配置されていたのは実質的に被告の日常生活の世話のためであり、管理人費用の支払も本件合意に基づく利益供与に当たると認定した。争点③について、相談役報酬も管理人費用も本件合意に基づいて支払われたものであるから、被告は悪意の受益者に当たると判断した。