AI概要
【事案の概要】 本件は、個別指導塾「Wam」のフランチャイズ本部である控訴人(一審原告)が、フランチャイズ契約(本件契約)を締結していた被控訴人(一審被告)に対し、(1)競業避止義務違反に基づく違約金2000万円の支払、(2)商標権侵害に基づく被告標章の使用差止め及び損害賠償、(3)不正競争防止法に基づく営業秘密の不正使用差止め及び損害賠償、(4)契約終了に伴うマニュアル等の返還を求めた事案である。被控訴人は、本件契約とは別に英語学習教室「LH」を経営しており、本件契約終了後もLHの運営を継続していた。原審(大阪地裁)は控訴人の請求を全部棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1)被控訴人がLHの事業を継続したことが競業避止義務違反に当たるか、(2)被控訴人による被告標章の使用が商標権侵害に当たるか、(3)被控訴人のチラシ配布が不正競争(混同惹起行為)に該当するか、(4)被控訴人が控訴人の営業秘密を不正使用したか、(5)契約終了に伴うマニュアル等の返還義務の範囲。 【判旨】 大阪高裁は、原判決を一部変更し、マニュアル等目録記載1の書類(物件1)の複写物の返還請求のみを認容し、その余の請求をいずれも棄却した。競業避止義務違反については、LHは本件契約締結前から英語指導のみならず受験指導も行っていた従来の事業であり、LHの塾長は本件マニュアル等の存在すら知らされていなかったことから、控訴人の指導方法を導入したとは認められないとした。商標権侵害については、契約終了後に被告標章付きチラシが配付された事実を認めるに足りる証拠がないとした。営業秘密の不正使用についても、塾長が用いた情報は同人の英語指導の経験に基づく知見の範囲にすぎないと判断した。他方、マニュアルの返還については、被控訴人が訴訟目的で物件1の複写物を保管していることを認定し、契約上の返却義務は訴訟終了により確定するとして返還を命じた。