AI概要
【事案の概要】 本件は、地方競馬(笠松競馬)の騎手であった原告が、被告(岐阜県地方競馬組合)の管理者から「競走に関し、不正な目的をもって財物を収受した」として1年間の競馬関与停止処分を受けたことについて、同処分は違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金142万6115円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告は、不正な馬券購入を行っていた調教師Bから平成27年中に複数回にわたり現金を受領していたが、これはレースで勝った際の「ご祝儀」や馬の調教を手伝ったことに対する「調教料」であり、情報提供の対価ではなかったと主張した。 【争点】 本件関与停止処分が国家賠償法上違法であるか。具体的には、原告がBから受領した現金が「競走に関し、不正な目的をもって収受した財物」に該当するか、また被告管理者が処分にあたり職務上尽くすべき注意義務を尽くしていたかが争われた。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、Bから受領した現金の額について、原告は1回当たり1〜2万円程度と主張したが、第三者委員会での聴取における原告自身の回答内容(1回当たり3〜5万円程度と述べていたこと)に照らし、原告の主張は採用できず、1回当たり3〜5万円程度であったと認定した。その上で、当時の騎手の収入構造(騎手手当1回4000円、進上金の最頻値6500円等)や本賞金の規模等に照らせば、3〜5万円もの現金を複数回受け取りながら「ご祝儀」や「調教料」と認識していたとは考え難く、原告は少なくとも不正な金員かもしれないがそれでも構わないとの認識を有していたと認められるとした。したがって本件関与停止処分に事実誤認はなく、国家賠償法上違法というべき事由は認められないと判断した。