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【事案の概要】 いわゆる和歌山カレー毒物混入事件等により死刑が確定した請求人が、カレー毒物混入事件、夫へのくず湯による砒素混入事件(Aくず湯事件)、知人への砒素混入事件(B事件)、保険金詐欺事件(C荘事件、火傷事件、A高度障害事件)について再審を請求したところ、和歌山地方裁判所が再審請求を棄却したため、その棄却決定に対して即時抗告を申し立てた事案である。請求人及び弁護人は、カレー毒物混入事件について被害者の体液からシアンが検出されており第三者の犯行の可能性がある、捜査機関が請求人に違法に黙秘権行使を勧めた等と主張し、新証拠を提出して再審開始を求めた。 【争点】 ①即時抗告の申立て期間内に理由を記載した書面が提出されたか(適法性)、②カレー毒物混入事件においてシアンが毒物として使用された可能性を示す捜査報告書等が刑訴法435条6号の新規明白な証拠に該当するか、③各事件における弁護人主張の新証拠が再審開始事由に該当するか。 【判旨】 大阪高等裁判所は、即時抗告を棄却した。まず、請求人及び弁護人のいずれも即時抗告の申立書に理由の記載があるとは認められず、申立て期間内に理由書の提出もなかったため、本件即時抗告は手続規定に違反し不適法であると判断した。そのうえで補論として原決定の当否を検討し、カレー毒物混入事件について、弁護人が新証拠とする捜査報告書は確定第一審で既に提出された証拠であり「あらたに発見した証拠」には当たらないとした。また、被害者の体液中のシアン濃度は毒性を示す濃度(500ppb以上)を大幅に下回り、大半が一桁台ppbにとどまることから、シアンが毒物として用いられた可能性をうかがわせるには到底足りず、むしろシアンが毒物として用いられなかったことが強く推認されるとした原決定の判断は相当であるとした。Aくず湯事件・B事件及びC荘事件等についても、弁護人主張の各新証拠はいずれも新規明白な証拠に該当せず、刑訴法435条7号の職務犯罪の主張についても確定判決等による証明がないとして、原決定の判断は正当であると結論づけた。