不正競争等に対する損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 空手道場を経営する被控訴人(原告)が、同じく空手道場を経営する控訴人(被告)に対し、控訴人がフェイスブック上に投稿した記事(本件投稿1〜5)が、被控訴人の名誉権及び名誉感情を侵害するとともに、被控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実の流布(不正競争防止法2条1項21号)に当たるとして、民法709条及び不競法4条に基づき、損害賠償金380万円(慰謝料150万円、信用毀損による無形損害200万円、弁護士費用30万円)及び遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審である。本件各投稿は、控訴人が、元門下生Aの投稿(道場主である指導者から上段回し蹴りを受けて妻が後遺症の残る大けがを負ったとする内容)をシェアした上で、「鬼畜道場主」「鬼畜の所業」等の表現を用いて被控訴人を批判したものであった。原審は被控訴人の請求を一部認容し、控訴人が控訴した。 【争点】 1. 本件各投稿における匿名の「道場主」が被控訴人であると同定できるか(同定可能性) 2. 本件投稿1・2・4・5が名誉毀損に当たるか、また摘示事実の真実性・真実相当性が認められるか 3. 本件投稿1・2・4・5が不正競争防止法2条1項21号の不正競争に該当するか 4. 本件投稿3・4が被控訴人の名誉感情を侵害するか 【判旨】 控訴棄却。控訴審は原判決を相当と判断した。同定可能性について、控訴人は投稿の読者をフォロワー515名に限定し、そのうち「道場主」を被控訴人と同定できる者は4名(約0.8%)に過ぎないと主張したが、裁判所は、本件各投稿は公開設定で誰でも閲覧可能であり、ウェブ検索でも到達可能であること、シェア機能により元投稿からハイパーリンクが設定されていること等から、閲覧者はフォロワーに限られないとして、控訴人の主張は前提を欠くと判断した。名誉毀損については、元投稿を引用した各投稿の内容を総合考慮すれば事実の摘示を含むものであり、「後遺症」の語は損害賠償訴訟の判決が前提とされる文脈では「後遺障害」の意味を含むことが明らかであるとして、真実性・真実相当性の主張を排斥した。不正競争該当性については、流派や所在地が異なっても空手に関心のある需要者層が共通し競争関係が認められるとした。名誉感情侵害については、「鬼畜道場主」「鬼畜の所業」等の表現は社会通念上許容される限度を超えて被控訴人を侮辱するものと判断した。