AI概要
【事案の概要】 原告(ホテル経営会社)は、被告(地方公共団体・岡山県)が新型コロナウイルス感染症の軽症者等の受入施設としてホテルを借り上げるため、賃貸借契約の締結に向けて交渉を行っていたところ、被告の要請に従い、宿泊客の予約キャンセルや設備工事等の準備を進めた。しかし、被告は賃貸借開始予定日の令和2年5月1日当日に、部屋が狭小でたばこ臭があることを理由に契約締結を見送った。原告は、被告には契約締結が確実であると誤信させた契約締結上の過失があるとして、不法行為に基づく損害賠償約2959万円を請求した。 【争点】 1. 被告に契約締結上の過失があるか 2. 原告の損害額(逸失利益・各種設備工事代金等) 【判旨】 裁判所は、被告に契約締結上の過失があると認めた。被告は4月27日に原告ホテルを視察し、内線電話の設置やインターホン工事等の具体的な要望を伝え、5月1日の借上開始を希望する旨を伝えていた。4月28日には賃貸借契約書案も送付され、4月30日にはマスコミ内覧会の実施まで協議されるなど、交渉は相当に成熟していた。部屋の狭小やたばこ臭は遅くとも4月27日の視察時に判明していたはずであり、5月1日に突如契約を見送ったことは信義則上の義務に違反すると判断した。損害額については、逸失利益として5月の1か月間の休業による得べかりし利益を認めつつ、新型コロナの影響による稼働率低下や変動費控除を考慮し175万円を認定した。設備工事代金については、被告が要望した電話内線工事の一部(13万3100円)、インターホン・窓改造・鍵交換工事(20万7680円)、フロント引越し費用(9万2400円)の合計43万3180円を認めた一方、館内放送設備・電動シャッター・休業看板の費用やリネン類購入費用は因果関係を否定した。過失相殺も否定し、合計218万3180円の損害賠償を認容した。