公契約関係競売入札妨害
判決データ
AI概要
【事案の概要】 KKR(国家公務員共済組合連合会)札幌医療センターの敷地内保険調剤薬局整備運営事業に関し、同センター事務部長Aが、公募型企画競争において特定の調剤薬局事業者(G社)を優先交渉権者とするため、企画提案書の提出期限経過後に、G社の担当者である被告人Bに対し、他の事業者がG社より高い賃借料を提案していることやその概算を教示した上、提出済みの企画提案書を返還し、月額賃借料を450万円から750万円に増額した企画提案書を再提出させたという公契約関係競売入札妨害(刑法96条の6第1項)の事案である。原審(一審)は被告人両名を有罪としたが、被告人らが控訴した。 【争点】 本件企画競争が刑法96条の6第1項にいう「公の入札」で「契約を締結するためのもの」に該当するか否かが主たる争点となった。具体的には、①医療センターが「公の」入札等実施主体に該当するか、②会計法上の随意契約の一形態である企画競争が同項の「入札」に該当するか、③本件企画競争が「契約を締結するためのもの」に該当するか、が争われた。 【判旨】 札幌高裁は、①医療センターが「公の」入札等実施主体に該当するとの原判決の判断は是認したものの、②③について原判決の法令解釈・適用に誤りがあるとして、原判決を破棄し、被告人両名に無罪を言い渡した。②について、競争入札の実質を具備するには、応募者において競争の対象や落札者決定基準が理解可能な状態にあることが必要であるところ、本件企画競争では各審査項目の配点が非公表で、審査基準も各委員の大幅な裁量に委ねられており、月額賃借料の採点方法も応募者が容易に想定しがたいものであったとして、競争入札の実質を具備しているとは認められないと判断した。③についても、優先交渉権獲得後の交渉で契約内容が変更されることが想定されており、「契約を締結するためのもの」とはいえないとした。