選挙無効請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 千葉県議会議員一般選挙(令和5年4月9日施行)について、船橋市選挙区の選挙人である上告人が、千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例の定数配分規定が公職選挙法15条8項及び憲法14条1項に違反し無効であるとして、同選挙区における選挙の無効を求めた事案である。本件選挙当時、41選挙区に95人の定数が配分され、選挙区間の議員1人当たりの人口の最大較差は1対2.69であった。船橋市選挙区では、人口比定数が10人であるのに対し、配分された定数は7人にとどまり、3人の不足が生じていた。 【争点】 千葉県議会議員選挙の定数配分規定が、公職選挙法15条8項の人口比例原則及び憲法14条1項の投票価値の平等に違反するか。 【判旨】 最高裁第三小法廷は、上告を棄却した。都道府県議会の議員定数の各選挙区への配分については議会に裁量権が認められるが、投票価値の平等は憲法の要求するところであり、公職選挙法15条8項は人口比例を最も重要かつ基本的な基準としていると判示した。そのうえで、本件改正により選挙区間の最大較差が1対3.06から1対2.69に縮小し、人口比定数による最大較差1対2.67との差異はわずかであること、逆転現象も解消されたことから、投票価値の不平等は一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達していたとはいえないとした。もっとも、不平等の改善に向けた一層の努力及び工夫が望ましいと付言した。 【補足意見】 渡辺惠理子裁判官は、結論に賛同しつつも、船橋市選挙区の定数が人口比定数から3人不足する状態への懸念を表明した。同選挙区の定数は昭和50年の選挙から約50年間7人に据え置かれており、人口増加傾向に鑑みると今後さらに人口比定数からの乖離が拡大するおそれがあるとして、投票価値の平等を尊重した検証を求めた。宇賀克也裁判官は反対意見を述べ、1票の価値の同等がデフォルトであり制約の合理性は選挙管理委員会が立証すべきとしたうえで、人口比定数より3人少ない状態は異常であり、人口比定数を上乗せされた8選挙区の説明も全体の整合性に欠けるとして、定数配分規定は憲法14条1項及び公職選挙法15条8項に違反すると主張した。
裁判要旨
1 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定は、令和5年4月9日に行われた千葉県議会議員一般選挙当時、公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえない。 2 千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)の議員定数配分規定は、令和5年4月9日に行われた千葉県議会議員一般選挙当時、憲法14条1項に違反していたものとはいえない。 (1、2につき補足意見及び反対意見がある。)
参照法条
(1、2につき) 公職選挙法15条8項、千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)2条 (2につき) 憲法14条1項