AI概要
【事案の概要】 被告人は、偽ブランド品等の販売で生計を立てていたが、多額の債務を抱え家賃も滞納する経済的困窮状態にあった。被告人は、15年以上の商売上の付き合いがあった被害者(当時62歳)に対し、令和5年4月5日、被害者方に侵入して現金約26万円を窃取した(住居侵入・窃盗)。さらに同年6月1日、被害者を殺害して金品を強奪しようと企て、被害者方敷地内で帰宅した被害者の頭部等を重さ約1.28キログラムのハンマーで多数回殴打し、反抗を抑圧した上で、車内から現金約120万円入りの財布が入ったバッグを強取し、頭部打撲による外傷性くも膜下出血により被害者を死亡させた(強盗殺人)。 【争点】 弁護人は、被告人が被害者に暴行を加えた際に財物奪取の意思を有していなかったとして、強盗殺人罪ではなく殺人罪と窃盗罪が成立するにすぎないと主張した。被告人も犯行時のことはよく覚えていないと供述し、車のドアを開けたのも本件バッグを取ったのも無意識であったと述べた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、防犯カメラ映像等から、被告人が暴行後わずか約50秒で車内を物色し、助手席側ドアを意図的に解錠して後部座席のバッグを中身も確認せず約3秒で持ち出した一連の行動は、暴行時から既に財物奪取の意思を有していたことを強く推認させると判断した。また、被告人と被害者には商売上の付き合いしかなく殺害を決意するほどの恨みは見当たらないこと、被告人が経済的に困窮し2か月前にも同じ被害者方で窃盗に及んでいたこと、強取した現金を犯行当日又は近日中に債務の返済等に充てていることからも、財物奪取目的での犯行であることが推認されるとした。被告人の弁解は不自然で信用できず、強盗殺人罪の成立を認定した。量刑については、ハンマーで頭部を陥没骨折させるほどの強度で繰り返し殴打した態様は極めて危険かつ残虐であること、計画的犯行で動機に酌むべき点がないこと、公判で不合理な弁解に終始し反省の態度がうかがわれないことから、同種事案の量刑傾向に照らし、求刑どおり無期懲役を言い渡した。