損害賠償等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 カメラマンである被控訴人Yは、被控訴人社団(のりこえねっと)からの依頼に基づき、Z(Colabo代表者)の肖像写真(本件写真)を撮影し、被控訴人社団に納品した。被控訴人社団は本件写真を使用して、男性のセクハラ行為や女性差別的言動を告発する内容の動画を作成しYouTubeに投稿していた。控訴人は、被控訴人らの許諾を得ることなく、本件写真にモザイク処理やイラストを重ねるなどの改変を施した上、「Colaboの活動報告書は嘘だらけのデタラメでした」等のタイトルの動画に使用しYouTubeに投稿した。原審は、被控訴人社団の著作権(複製権・公衆送信権)侵害及び被控訴人Yの著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)侵害を認め、差止請求を認容するとともに、被控訴人社団に77万円、被控訴人Yに33万円の損害賠償を認容した。控訴人が敗訴部分を不服として控訴した。 【争点】 ①本件写真の著作権の帰属(被控訴人Yから被控訴人社団への著作権譲渡の有無)、②複製権及び公衆送信権侵害の成否(モザイク処理等により本件写真の表現上の本質的特徴を感得できるか)、③氏名表示権侵害の成否(著作権法19条2項の適用の可否)、④同一性保持権侵害の成否、⑤差止めの必要性、⑥損害額の相当性。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は原審の判断を維持した。著作権の帰属について、譲渡側・譲受側の双方が著作権譲渡の事実を主張し、これに沿う陳述書等の直接証拠が提出されていることから、著作権譲渡の事実を認定した。複製権侵害について、モザイク処理は粗いものにすぎず、イラストを重ねた部分についても上半身や髪の部分等を認識でき、アングルの選択や照明等を含め本件写真の表現上の本質的特徴を感得できると判断した。氏名表示権侵害について、著作権法19条2項は著作者の推定的意思を基礎とする規定であり、本件写真に無断の改変が加えられている本件では同項の適用は前提を欠くとした。差止めの必要性について、控訴人が写真データを敢えて保有し続けていることは侵害のおそれを裏付けるとした。損害額について、密接な関連性のある者の間の著作権譲渡価格は著作権の市場価値に直結せず、原判決の損害額認定は過大とはいえないと判断した。