AI概要
【事案の概要】 本件は、電子図書館サービスを運営するNPO法人(原告)が、被告(株式会社PFU)製の文書用スキャナー(fi-7600)4台を購入して使用していたところ、①スキャナーの動作が突然停止する、②スキャンした原稿の画像が保存されないという異常が数時間に1回程度の頻度で発生したとして、被告が提供するスキャナー制御ソフトウェア(PaperStream IPドライバ及びScandAll PRO)にバグ(欠陥)があることを原因とする債務不履行に基づき、損害賠償金500万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告は、ソフトウェアのメモリリークが異常の原因であると主張し、ログファイルが20ギガバイトを超える巨大なサイズになったことがその証左であると主張した。 【争点】 主な争点は、①被告製ソフトウェアにメモリリーク等のバグが存在し、それが異常の発生原因であるか(債務不履行の有無)、②損害の発生及びその額であった。原告は、情報工学の修士号を持つ役員がソフトウェアのバグを確認したと主張し、4台全てのスキャナーで同じ異常が発生したことからパソコン側の問題ではないと主張した。被告は、エラーメッセージはスキャナー本体のハードウェアに起因するものであり、ソフトウェアの問題ではないと反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、原告が提出したログデータについて、特定のログファイルが大容量となった原因がメモリリークにあること、及びメモリリークが異常の発生原因であることを認めるに足りる証拠はないと判断した。「ADFが開いています」等のエラーメッセージは通常スキャナー本体の問題を示すものと解されるところ、ソフトウェアが原因であることを認めるに足りる証拠はないとした。また、「メモリ不足」のエラーについても、被告の説明(大量の原稿読み取りによりパソコン側のメモリ空き容量が不足した場合に表示されるもの)は合理的であるとした。さらに、被告の事業規模から相当数のユーザーが存在すると考えられるにもかかわらず、他に同様の事象の報告がないことも指摘し、原告の請求を棄却した。