道路交通法違反、危険運転致死、傷害被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人(当時19歳の特定少年)は、無免許で大型ミニバンを運転中、横浜市内の信号交差点において、対面信号が赤色表示であることを認識しながら停止せず、交差点直前でアクセルを踏んで時速約45kmで交差点に進入し、左方道路から黄色信号に従わず進入してきた被害者(当時48歳)運転の自動二輪車と衝突させた。被害者は顔面粉砕骨折、頭蓋冠骨折、脳底部挫滅等の傷害を負い、2日後に外傷性脳障害により死亡した。被告人は事故後、同乗者から現場に戻るよう言われたにもかかわらず逃走し、救護義務・報告義務にも違反した。加えて、被告人は事故の約4か月前にも、ラーメン店で居合わせた被害者に因縁をつけて暴行を加え、全治約2か月の傷害を負わせる事件を起こしていた。 【争点】 危険運転致死罪の成否に関し、被告人が対面信号の赤色表示を「殊更に無視」したといえるかが争われた。被告人は、交差信号の黄色表示を見て対面信号がまもなく青色に変わると思い停止しなかったと供述した。弁護人は、被告人がアクセルを踏んだのは対面信号が青色に変わると思い込んでいたからであると主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人が停止線手前約34.9mの地点で交差信号の黄色表示を確認した時点で、交差信号がいつ赤色に変わるかは把握できておらず、全赤を経て対面信号が青色になるまでの時間を考慮すれば、2秒程度で対面信号が青色になると考える根拠はなかったと認定した。また、青色信号を待つつもりであれば対面信号を注視しつつ減速するはずであるのに、被告人は交差点直前でアクセルを踏んでおり、この運転態様は青色信号になってから進入しようとしたものとは考え難いとした。さらに、事故の約2分前にも別の交差点で赤色信号を無視して通過していた事実を認定し、被告人は交差道路から車両が来る可能性が低い状況であれば赤色信号を無視して交差点に進入する意思であったと認めた。もっとも、対面信号が赤色のままであるとの確定的認識までは認められないとして、いわゆる第1類型(確定的認識型)には該当しないと判断した。量刑については、被害者1名の生命が失われた結果の重大性、無免許運転の常習性、ひき逃げの悪質性、自賠責保険すら未加入で賠償のめどが立っていないこと、反省の態度が認められないことなどを総合し、被害者側にも黄色信号違反があった点や傷害事件の示談成立等を考慮しても、求刑どおり懲役10年を言い渡した。