不正競争行為差止等請求控訴・同附帯控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、YouTubeやツイキャスで将棋の棋戦についてAI評価値放送(リアルタイムで棋譜情報を盤面上に再現し、AIによる評価値を表示する動画配信)を行っていた被控訴人(一審原告)が、将棋の棋戦を独占配信する控訴人(株式会社囲碁将棋チャンネル、一審被告)に対し、控訴人がYouTube等に著作権侵害を理由として動画の削除申請をしたことが不正競争防止法2条1項21号の営業誹謗行為に当たると主張し、差止め、信用回復措置及び損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審は被控訴人の請求を一部認容したため、控訴人が控訴し、被控訴人も附帯控訴した。 【争点】 主な争点は、控訴人による削除申請が被控訴人の「営業上の利益」を侵害するか否かであり、その前提として、被控訴人によるリアルタイム棋譜情報を利用した動画配信が不法行為に該当するかが問題となった。控訴人は棋譜そのものが著作物であるとは主張しておらず、削除申請が「虚偽の事実の告知」に客観的に該当することは争っていなかった。 【判旨】 大阪高裁は、原判決を取り消し、被控訴人の請求をすべて棄却した。裁判所は、日本将棋連盟が棋戦の放送・配信権を許諾することで収益を上げ、棋戦の開催・運営費用を賄うビジネスモデルを採用していること、控訴人は多額の協賛金・契約金を負担して配信権の許諾を受けていることを認定した上で、被控訴人の動画配信は、一視聴者として控訴人の配信から取得したリアルタイムの棋譜情報を無料で提供するものであり、控訴人の有償配信の視聴者を減少させ直接的に損害を生じさせるものであると判断した。さらに、被控訴人は控訴人の収益構造を理解しながら故意に損害を与えており、他の動画配信者が主催者のルールに従う中で被控訴人のみがルールに従わず競争上優位に立っていたことも考慮し、被控訴人の本件動画配信は自由競争の範囲を逸脱する不法行為に該当すると認定した。その結果、被控訴人の営業上の利益は法律上保護される利益に該当せず、不正競争防止法に基づく各請求及び不法行為に基づく損害賠償請求はいずれも理由がないと結論づけた。