砂川事件裁判国家賠償等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 砂川事件(昭和34年)の被告人であった控訴人ら(及び被告人の相続人)が、国に対し、砂川事件上告審の裁判長裁判官であった田中耕太郎最高裁長官が、審理係属中に密かに駐日アメリカ大使らと面会し、審理の予測や評議の状況等を伝えていたとして、①公平な裁判所の裁判を受ける権利(憲法37条1項)を侵害されたことを理由とする国家賠償請求・謝罪広告請求と、②砂川事件上告審判決及び差戻審判決が無効であることを理由とする罰金相当額の不当利得返還請求を行った事案の控訴審である。原審は控訴人らの請求を全部棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 主な争点は、①田中裁判長がアメリカ大使らと面会し裁判情報を伝えたことが「公平な裁判所の裁判」を受ける権利の侵害に当たるか(刑事訴訟法21条1項の忌避事由の有無)、②消滅時効の完成の有無、③確定した有罪判決の罰金について民事訴訟で不当利得返還請求をすることの適法性である。 【判旨】 控訴審は、不当利得返還請求部分については原判決を取り消して訴えを却下し、その余の控訴を棄却した。まず、田中裁判長がアメリカ大使らと3回にわたり非公式に面会し、審理の進行状況や判決時期の見通し、評議の在り方についての希望等を伝えたことは認定したものの、その内容は手続の説明や見通し、評議に関する抽象的な指針にとどまり、具体的な評議内容や心証、判決内容等を伝えた事実は認められないと判断した。田中裁判長の言動は裁判所の公平らしさに疑念を抱かせるおそれがあり不適切であったとしつつも、忌避事由には該当せず、憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」ではなかったとは認められないとした。消滅時効についても、遅くとも再審請求時までに権利行使が可能であったとして完成を認めた。不当利得返還請求については、確定した有罪判決の効力を民事訴訟で争うことは現行法上想定されておらず、救済は再審手続によるべきであるとして、訴えを不適法と判断した。