AI概要
【事案の概要】 被告人は、平成13年2月6日午前11時30分頃、広島県福山市内の面識のない被害者(当時35歳)方に玄関から侵入し、被害者の口や両手首に粘着テープを巻いた上、果物ナイフ(刃体約10cm)で腹部を深く強く突き刺すなどして殺害した住居侵入・殺人の事案である。被害者は心臓損傷等に基づく失血により死亡した。被告人は犯行を否認し、犯行日時には釣り場の下見に行っていたと供述した。犯行から約20年以上を経て逮捕・起訴された事件である。 【争点】 犯人が被告人であるか否かが争点となった。具体的には、犯行現場から発見された複数の血液が被告人のものであるかが主な問題であった。弁護人は、DNA型鑑定の信用性について、スタターの判断やソフトウェアの信用性を争った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯行現場から発見された被害者の左足ソックス、右足ソックス片、階段、ヘアスプレー缶に付着した4箇所の血液について、複数回のDNA型鑑定の結果(出現頻度約1100万人に1人、約4兆7千億人に1人等)からいずれも被告人のものと認定した。令和6年の最新鑑定では資料の劣化が見られたものの、法医学者の証言により尤度比を用いた検討で被告人と同型のDNAが含まれていると認められた。これらの血液は犯行時に残されたものであること、犯行現場の足跡が一種類であったこと、被告人の旧居宅から凶器と同種の果物ナイフを含む調理器具セットが発見されたこと等を総合し、被告人が犯人であると認定した。被告人のアリバイ供述は公判で初めてなされたもので信用できないとした。量刑については、面識のない被害者に対する危険で残忍な犯行であり、殺意は強固で、幼い二人の子供を残して命を奪われた被害者の無念は計り知れないとした。平成16年刑法改正前の殺人罪の法定刑を適用し、有期懲役刑の上限付近に位置付けるべき事案として、求刑どおり懲役15年を言い渡した(被害者参加弁護士の科刑意見は死刑)。