損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、被告(徳島県)との間で「水車を利用した青ノリの採苗技術の開発」に関する共同研究契約(甲2契約)を締結した。原告は、①被告が原告の承諾なく共同研究の研究成果を事業報告書及びウェブサイトに公表したことが甲2契約の債務不履行に当たる、②被告が原告の特許権(特許第6878720号)の取得を妨害し、研究成果の特許出願に係る契約上の義務に違反したと主張して、損害賠償金1億円(明示的一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた。原審(大阪地裁)は原告の請求を棄却し、原告が知的財産高等裁判所に控訴した。 【争点】 1. 被告による公表行為(事業報告書及びウェブサイトへの記事掲載)が、原告の承諾を得ない研究成果の公表であり、甲2契約の債務不履行となるか。 2. 被告に原告の特許権取得を妨害する行為があったか、あったとして甲2契約の債務不履行となるか。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、以下の理由から原告の主張をいずれも退けた。 争点1について、青ノリについて水車採苗を行うという着想自体は、平成10年3月付けの講習会資料に既に記載されており、本件共同研究以前から存在していたと認定した。原告は同資料が改ざんされた疑いがあると主張したが、字体や書式の相違は認められず、原告の主張は憶測にすぎないとして排斥した。また、黒ノリについては既に水車採苗技術が確立されていたことを踏まえると、青ノリへの水車採苗の着想自体は格別想起困難なものではなく、共同研究の成果ではないとした。被告の公表内容も、共同研究の具体的な技術内容を明らかにするものではないと判断した。 争点2について、特許取得には具体的な技術的裏付けや実施例の開示が必要であり、被告の公表行為の有無にかかわらず、原告は自らの具体的技術内容を開示する必要があったと認定し、公表行為と特許取得の妨害との因果関係を否定した。