固定資産価格審査決定取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 大阪市に所在する2棟の非木造家屋(25階建ての複合構造建物及び地下1階付き9階建ての複合構造建物)に係る固定資産税の納税義務者である被上告人が、家屋課税台帳に登録された平成30年度の価格を不服として、大阪市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、棄却又は一部減額の決定を受けたため、当該決定の取消し等を求めた事案である。各建物はいずれもSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とS造(鉄骨造)の複合構造家屋であり、床面積の過半をS造が占めていたが、大阪市長は低層階を構成するSRC造等に応じた経年減点補正率を適用して価格を決定していた。被上告人は、最大床面積を占めるS造に応じた経年減点補正率を適用すべきであると主張した。 【争点】 複合構造家屋の固定資産評価において、経年減点補正率を求める際に、低層階を構成する構造のうち所定経過年数の最も長いものに応じた補正率を適用する方法(低層階方式)が、固定資産評価基準上許容されるか。 【判旨】 最高裁は原判決を破棄し、被上告人の請求をいずれも棄却した。評価基準は複合構造家屋に適用すべき経年減点補正率の具体的な求め方を定めていないが、複合構造家屋であっても取壊しの判断は基本的に一棟単位でなされること、家屋に作用する荷重や外力は最終的に低層階の構造によって負担されることから、低層階を構成する構造のうち耐用年数が最も長いものの耐用年数が経過しない限り建物としての効用の維持を図ることができると判断した。したがって、低層階方式に従いSRC造等経年減点補正率を適用したことは評価基準上許容される合理的なものであり、また在来分家屋について床面積方式に統一しなかったことも平等原則に違反しないとした。 【補足意見】 草野耕一裁判官は反対意見を述べ、上告を棄却すべきとした。課税要件の明確性の観点から、低層階方式は実質的に最長方式と同じ結果をもたらす「ドラコニアン」(過酷)な算定方式であり合理性を欠くこと、仮に穏やかな低層階方式であっても具体的な算定方式が事前に公表されていない以上は違法であること、床面積方式や平均一棟方式の方が合理的であることを詳細に論じた。
裁判要旨
複数の構造により建築されている2棟の非木造家屋について家屋課税台帳に登録すべき価格がそれぞれ決定された場合において、上記各非木造家屋のうち、25階建てのものは、増築された部分を除く部分が、1階から5階までは鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄骨造、6階から25階までは鉄骨造で構成され、当該部分の合計床面積のうち少なくとも58%程度を鉄骨造の部分が占めており、地下1階付き9階建てのものは、地下1階から地上3階までは鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄骨造、地上4階から9階までは鉄骨造で構成され、合計床面積のうち80%程度を鉄骨造の部分が占めているなど判示の事情の下では、上記の各決定に当たり、固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成30年総務省告示第229号による改正前のもの)別表第13の定める経年減点補正率のうち構造別区分を鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造とするものを適用したことが、同基準に反するものということはできない。 (反対意見がある。)
参照法条
地方税法349条1項、地方税法388条1項、地方税法403条1項、固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成30年総務省告示第229号による改正前のもの)第2章第3節五、固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成30年総務省告示第229号による改正前のもの)別表第13