AI概要
【事案の概要】 宗教法人である原告が、西東京市議会議員選挙の候補者であった被告に対し、選挙期間中の街頭演説において名誉を毀損する発言をされたとして、不法行為に基づく損害賠償1100万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。被告は令和4年12月19日、田無駅北口の路上でマイクとスピーカーを使用して約70分間の街頭演説を行い、その終盤において、平成7年にF市議会議員Bが転落死した事件について「これはもう他殺ですよ」「持ち上げて落とそうとした人がいた」「こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でございます」と発言した。被告は元原告の会員であり、脱会後に本件選挙に立候補した者であった。 【争点】 1. 本件発言が原告の殺害関与という事実を摘示し社会的評価を低下させるものか 2. 真実相当性の抗弁の成否 3. 正当業務行為の抗弁の成否 4. 損害額 【判旨】 裁判所は、一般聴衆の普通の注意と聴き方を基準として、本件発言は原告がBの殺害に関与した事実を摘示したものと認定した。被告は「こういうようなこと」が原告と行政との癒着を指すと主張したが、本件発言自体の内容がBの転落死を他殺と断定し殺害方法まで特定した上で原告の関与を述べるものであること、街頭演説の聴衆の多数は短時間聴くにとどまり先行する応援演説の内容を前提としていないこと等から、この主張を退けた。真実相当性の抗弁については、被告自身が本人尋問で原告の殺害関与を真実とは信じていなかったと供述しており、抗弁成立の前提を欠くとした。また、依拠した情報も遺族や反対活動家からの間接的なものにとどまり、信憑性の検討が不十分であったと判断した。正当業務行為の抗弁についても、被告は選挙候補者にすぎない私人であり、現職議員と同列には論じられないとして排斥した。損害額については、殺害関与の疑いが既に書籍等である程度公になっていたこと、発言を聴いた者が限定的であること、原告が早期に訴訟提起と刑事告訴を公表したこと等を考慮し、慰謝料20万円及び弁護士費用2万円の合計22万円を認容した。