特許取消決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(大建工業株式会社)が有する「木質ボード」に関する特許(特許第7064552号)について、特許庁が特許異議申立てに基づき請求項1、2及び4に係る特許を取り消す決定をしたため、原告がその取消しを求めた訴訟である。本件特許は、繊維方向に沿った細長形状の多数の木質小薄片を積層・接着して一体化した木質ボードに関するもので、木質小薄片の厚さ・長さ・幅の数値範囲や密度等を特定することにより、高強度で寸法安定性や表面性に優れた木質ボードを実現するものである。特許庁は、先行技術である甲1発明(特開平11-58332号公報)等に基づき、本件発明は当業者が容易に発明できたものであるとして進歩性を否定した。 【争点】 主な争点は、①甲1発明との相違点1(木質小薄片の長さの数値範囲の相違)及び相違点2(大きさ・形状の均質性と節部分の有無)を個別に認定したことの当否、②相違点1の容易想到性、③相違点2の容易想到性、④相違点1'(本件発明2に係る長さ・幅の数値範囲)の容易想到性である。原告は、寸法・形状等に係る構成は密度や配向に係る構成と一体として相乗効果を奏するものであり、ひとまとまりの相違点として判断すべきであると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず、相違点の認定について、本件明細書の記載や実験成績証明書を検討しても、寸法・形状等に係る構成、密度に係る構成及び配向に係る構成が互いに関連して相乗効果を奏するとは認められず、個別に相違点を認定した本件決定に誤りはないとした。相違点1については、甲1発明における木質薄片の長さは課題解決手段として厚さや幅と同様の技術的意義を有するものとは認められず、木質板の用途に応じて寸法を調整・最適化することは当業者の通常の創作能力の発揮であるとして、容易想到性を肯定した。相違点2については、甲1発明の木質薄片も寸法が一定範囲内に収まっており「均質に揃っている」といえること、また節部分がないことは細片化木材を用いた再構成材が通常有する構成であることから、実質的な相違点ではないか容易想到であるとした。相違点1'についても同様に容易想到と判断し、本件決定の進歩性判断に誤りはないと結論づけた。