託送料金認可取消請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 小売電気事業者である控訴人が、経済産業大臣が九州電力送配電株式会社に対して行った託送料金単価を変更する旨の託送供給等約款の認可決定(本件処分)の取消しを求めた行政訴訟の控訴審である。変更後の託送料金には、原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金である賠償負担金相当金や、原子力発電工作物の廃炉を円滑に実施するための廃炉円滑化負担金相当金が含まれている。控訴人は、これらの費用を託送料金の原価に含めることを定めた算定規則や施行規則が、電気事業法の委任の範囲を超え違憲・違法であると主張した。原審は控訴人の請求を棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 1. 電気事業法18条3項1号の「適正な原価」は一般送配電事業を行うために必要な原価に限定されるか 2. 「適正な原価」に賠償負担金等の公益的課題に要する費用を含めることができるか 3. 賠償負担金等が「電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用」に該当するか 4. 施行規則が法令上の根拠なく一般送配電事業者に賠償負担金等の徴収義務等を課しているか 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、法18条3項1号の「適正な原価」の文言から、これが一般送配電事業を行うために必要な原価に限定されるとまでは解せないとした。平成11年報告書は、託送供給制度の下で全需要家が公益的課題に必要な負担を公平に負うことを原則としており、託送料金の仕組みを利用した回収スキームを提言したものと認められるとした。賠償負担金については、原子力損害賠償法が原子力事業者に賠償責任を負わせていることと、託送料金を通じた資金回収とは別の問題であり、電気の需要家を総体として捉えれば全需要家が過去に安価な原子力発電の電気を等しく利用してきたとみることができ、託送料金を通じた回収には正当性があるとした。廃炉円滑化負担金についても、エネルギー政策の目的達成のために導入された廃炉会計制度の継続に必要なものであり、公益的課題に要する費用に該当するとした。施行規則の各規定も、適法に定められた算定規則を実施するための手続規定であり、法が許容するものと判断した。