強要未遂、恐喝未遂、恐喝各被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 関西地区の生コンクリート産業における労働組合(a労働組合b支部)の執行委員長である被告人甲及び副執行委員長である被告人乙が、4件の公訴事実で起訴された事案である。第1事実は、生コン協同組合(d協組)の傘下企業c社の解散に際し、組合員の退職金名目で解決金1億5000万円を脅し取ったとする恐喝。第2事実は、同協同組合加盟のe社の破産に伴うシェア再分配を口実に解決金6000万円を脅し取ったとする恐喝。第3事実は、生コン製造会社f社に対し、日雇運転手の正社員化や就労証明書の作成を執拗に要求し、事務所への押しかけや怒号を繰り返したとする強要未遂。第4事実は、f社の生コン製造プラントの解体及びミキサー車1台の譲渡を要求したとする強要未遂・恐喝未遂である。検察官はそれぞれ懲役10年を求刑した。 【争点】 各公訴事実に共通する主要な争点は、(1)被告人両名の行為が害悪の告知(脅迫)に該当するか、(2)相手方が畏怖したと認められるか、(3)労働組合法1条2項・刑法35条による正当行為として違法性が阻却されないか、(4)被告人両名と実行行為者との共謀の有無、(5)検察官の起訴が公訴権の濫用に当たるかであった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、全4件の公訴事実について、いずれも犯罪の証明がないとして被告人両名に無罪を言い渡した。第1事実(恐喝・1億5000万円)については、b支部が行ったストライキと称する出荷監視活動は、協同組合側も出荷の自粛という形で応じていたものであり、実力行使による出荷妨害に至ったものではなく、また当時の協同組合とb支部との協調関係に照らせば、害悪の告知すなわち脅迫に該当するとは評価できないと判断した。第2事実(恐喝・6000万円)についても、協同組合側がb支部によるプラント占拠のメリットを享受し利用していた側面があり、占拠費用の負担を当初から想定していたとみるのが自然であるとして、害悪の告知には当たらないとした。第3事実(強要未遂)については、組合員による訪問・要求行為や監視行為に脅迫と評価し得る部分があったとしても、被告人両名との間にその行為についての共謀があったとは認められないとした。第4事実(強要未遂・恐喝未遂)については、12月以降の監視行為は偽装廃業の確認が目的であり、敷地外からの動静監視にとどまっていたこと等から、人を畏怖させるに足りる害悪の告知とはいえず、また被告人乙の意向が仲介者を通じて正確に伝わったか大いに疑問があるとして、共謀も認定できないとした。