著作者人格権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、映画脚本の原案である第10稿(準備稿)を作成した一審原告が、著名な映画脚本家である一審被告に対し、一審原告に無断で第10稿の内容を改変して第12稿(決定稿)を作成したことが著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償110万円等を求めた事案の控訴審である。原審は、一部の変更が同一性保持権の侵害に当たるとして慰謝料5万円等を認容したが、双方が控訴した。 【争点】 一審被告が第10稿に加筆・修正を加えて第12稿を作成した行為が、一審原告の同一性保持権を侵害するか否か。具体的には、一審原告が一審被告による加筆・修正に同意していたかが争われた。一審原告は、変更にあたっては事前に確認・承諾を得るべきであったと主張し、一審被告は、脚本家として業務委託を受けて行った作業であり一審原告の同意の範囲内であると主張した。 【判旨】 控訴審は、原判決の一部認容部分を取り消し、一審原告の請求を全部棄却した。裁判所は、一審被告が本件映画のプロデューサーから脚本家として第10稿の見直し作業の業務委託を受け、一審原告もその場で一審被告が脚本家として連名となることに同意していたこと、約2か月にわたる加筆・修正作業中に一審原告が異議を述べず協力していたこと、一審被告が第11稿・第12稿を映画制作側に送信する際に一審原告にも併せて送信し検討・意見を述べる機会を与えていたことなどから、一審原告は一審被告による加筆・修正作業自体に同意していたと認定した。また、加筆・修正した原稿を映画制作側に提供する前に一審原告の事前承諾を得る合意がされた事実は認められず、決定稿とする権限は映画監督・プロデューサー側にあるため、一審被告以外の者が第12稿を決定稿として映画を制作したことを根拠に一審被告の法的責任を問うことはできないと判断した。