AI概要
【事案の概要】 被告人は広島弁護士会所属の弁護士であり、成年後見人として選任された被後見人Aの財産管理業務、及び依頼者Kから委任を受けた被相続人L・Mの相続財産管理業務に従事していた。被告人は、別件民事事件について見るべき業務を行わず放置していたにもかかわらず、依頼者から追及されると順調に進捗しているとの虚偽報告を行っていた。その結果、依頼者から立替払いを求められるようになり、自費での立替えが多額に膨らんだことから、一時流用の目的で被後見人Aの預金口座から合計5000万円を送金した(第1)。さらに、家庭裁判所の審問や弁護士会からの懲戒調査通知を受けたにもかかわらず、補填の具体的見込みもないままその場しのぎの立替払いを続け、依頼者Kのために管理していた相続財産から合計6200万円を送金した(第2の1)。加えて、預り金を個人名義口座で管理する中で、自動車購入代金やエステティックサロン代金等として合計約1860万円を私的に費消した(第2の2)。被告人は、3つの犯行により合計約1億3000万円の預貯金を業務上横領した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人が高い職業倫理を備えるべき弁護士として多額の財産管理を委ねられた信頼を大きく裏切り、合計約1億3000万円という巨額の横領に及んだことは結果が重大であり、社会的に厳しい非難に値すると指摘した。被告人は自身の業務怠慢を糊塗するために依頼者の財産を侵害し続けたのであり、その意思決定は厳しく非難されるべきであるとして、刑の執行猶予は相当でないと判断した。他方、第2の被害者との間で横領金及び謝罪金として合計約8800万円の支払義務を認める合意をし、うち2000万円が支払済みであること、別件民事事件の引継ぎ弁護士により約3000万円の回収見込みが立ち被害弁償に充当できる見通しがあること、第1の被害者の親族に謝罪金50万円を支払い宥恕の意思が示されていること、被告人が罪を認めていること、弁護士資格喪失という社会的制裁を受けることが確実であること等を考慮し、検察官の求刑懲役5年に対し、懲役4年6月を言い渡した。