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最高裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
令和5(受)927
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
2025年3月7日
裁判種別・結果
判決・破棄差戻
原審裁判所
広島高等裁判所
原審事件番号
令和4(ネ)265

AI概要

【事案の概要】 静岡県警察所属の警部補Aが自殺したことについて、Aの父母である原告らが、自殺は過重な業務に起因するものであると主張し、静岡県警察を置く被告(静岡県)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。Aは交番長として勤務していたが、連続窃盗事件の自主的な見回り、職場実習指導員の業務、異動に伴う引継作業、海外研修の準備業務が重なり、自殺直前1か月間の時間外勤務は112時間超に達していた。また、14日間の連続勤務を1日の休みを挟んで2回行い、ストレス診断では最低評価のE判定を受けていたが、上司は何ら対応しなかった。原審(広島高裁)は、公務災害認定基準における「質的に過重な業務」に該当しないとして請求を棄却した。 【争点】 被告が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うか。具体的には、(1)Aの業務と精神疾患の発症・自殺との間に相当因果関係が認められるか、(2)Aの上司らにおいて安全配慮義務違反(業務負担軽減措置を講じなかった注意義務違反)が認められるか、(3)公務災害認定基準に該当しないことをもって直ちに損害賠償責任が否定されるかが問題となった。 【判旨】 最高裁は原判決を破棄し、広島高裁に差し戻した。まず、使用者は業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとの判例法理(最判平成12年3月24日)は、都道府県と警察官との関係においても同様に適用されると判示した。そして、国家賠償法上の損害賠償責任の判断に当たっては、業務に係る諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、公務災害認定基準に示された知見はしん酌し得るものの、認定基準の要件に該当しないことをもって直ちに損害賠償責任が否定されるものではないとした。その上で、Aの自殺直前1か月間の時間外勤務が前月の約43時間から112時間超へと倍以上に増加し、24時間拘束の当直を含む14日間連続勤務を2回行うなど、精神疾患の発症をもたらし得る過重な業務に従事していたと認定した。さらに、上司らは勤務日誌や時間外勤務実績報告書を通じてAの業務状況を把握し得る立場にあり、ストレス診断の最低評価も認識していたにもかかわらず、業務負担を軽減する措置を講じなかった点に注意義務違反があるとした。裁判官全員一致の意見。 【補足意見】 三浦守裁判官は、公務災害認定基準及び労災認定基準はいずれも精神障害に関する医学的知見等に照らし一定の合理性を有するが、無過失の危険責任に基づく補償制度の基準であり、損害賠償責任とは趣旨が異なると指摘した。これらの基準に示された知見をしん酌し得るとしても、形式的に当てはめるべきものではなく、経験則上の一つの知見としてしん酌すべきであるとした。また、認定基準が示す「質的に過重な業務」や時間外勤務時間数だけでなく、関係する諸事情を考慮して負荷の程度を評価すべき趣旨を含むものと解されるとした。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。

裁判要旨

都道府県警察所属の警部補が自殺した場合において、次の⑴~⑹など判示の事情の下では、当該都道府県警察を置く都道府県は、上記警部補の上司らが上記警部補の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に違反したことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う。 ⑴ 上記警部補の自殺直前の1か月間における時間外勤務時間数は、その前の1か月間における約43時間から、その倍以上に増加して112時間を超えるに至っており、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務の量は、従前から行っていた業務に相当程度の負荷を伴う複数の業務が加わることによって大きく増加していた。 ⑵ 上記警部補は、自殺直前の1か月間に、僅か1日の休みを挟んで14日間もの連続勤務を2回にわたり行っており、これらの連続勤務の中には、拘束時間が24時間に及ぶ当直の勤務がそれぞれ5回含まれていた上、上記警部補は、各当直明けの非番の日にも相当の時間の勤務を行った。 ⑶ 上記警部補が自殺の当時発症していたうつ病エピソードについて、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務のほかには、その発症に寄与したと解すべき事情はうかがわれない。 ⑷ 上記上司らは、上記警部補について上記の複数の業務が加わったことを当然に把握している立場にあった上、上記警部補が勤務する交番の勤務日誌を閲覧し、上記上司らのうち1人は上記警部補から時間外勤務実績報告書の提出も受けていた。 ⑸ 上記上司らのうち1人は、上記警部補が自殺の3か月ほど前に受けたストレス診断で最低評価となっていたことを知っていた。 ⑹ 上記上司らは、上記警部補の負担を軽減するための具体的な措置を講じていない。 (補足意見がある。)

参照法条

国家賠償法1条1項

判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。