AI概要
【事案の概要】 原告は、「ぽんちゃん」の文字を標準文字で表してなる商標(本願商標)について、第9類(電子出版物、コンピュータソフトウェア等)及び第16類(印刷物、文房具等)を指定商品として商標登録出願をした。これに対し、特許庁は、「ぽんちゃん」が群馬県館林市の観光マスコットキャラクターの愛称として著名であり、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標に該当するとして、商標法4条1項6号に基づき拒絶査定をした。原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は審判請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 (1) 引用標章「ぽんちゃん」が商標法4条1項6号にいう「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なもの」に該当するか。特に、同号の「著名なもの」の要件について、著名性の地理的範囲をどの程度限定して判断できるかが争われた。被告(特許庁長官)は、市区町村レベルの事業であれば群馬県及びその周辺での認知で足りると主張し、原告は、地域性を考慮すべきでなく全国的な著名性が必要と主張した。 (2) 審査手続において、刊行物等提出書により提供された情報を原告が閲覧できなかったことが商標法15条の2に違反する手続違背に当たるか。 【判旨】 裁判所は、取消事由1について原告の主張を認め、審決を取り消した。まず、商標法4条1項6号の「著名なもの」の解釈について、同号の趣旨は団体の公益性に鑑みその権威・信用を尊重するとともに出所混同を防止する点にあるとし、著名性の判断に当たり団体や事業の地域性を考慮して地理的範囲を限定する余地があることを認めた。しかし他方で、「著名」の字義に反する解釈は相当でなく、特定の地域でのみ知られている標章と同一又は類似の商標登録を禁止すれば、商標権を取得して全国的に当該商標を使用する権利を過度に制約しかねないとした。そのうえで証拠を検討し、引用キャラクター及び引用標章の館林市外への露出は散発的かつ限定的であり、新聞記事も地方紙か全国紙の地方版にとどまること、SNSフォロワー数も少数であること等から、群馬県及びその周辺において広く認識されているとは認められず、相応の規模の地理的範囲において広く認識されているとはいえないと判断した。取消事由2(手続違背)については理由がないとした。