AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「棒状ライト」とする特許第7169001号の特許権を有する原告(ペンライト等に使用する化学発光体の製造販売会社)が、被告(化学発光体等の製造販売会社・株式会社ルイファン・ジャパン)に対し、被告が製造販売する「ルミハート」(ハート型ペンライト)、「大閃光ブレード100」等の各ペンライト製品が本件特許の技術的範囲に属すると主張して、特許法に基づき被告各製品の製造販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償金1億1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。本件特許は、発光部と、デフォルトの発光順序を記憶する記憶部と、推薦色を設定する設定部と、発光色を順送り・逆送りする第1・第3ボタン、推薦色で発光させる第2ボタンを備えた棒状ライトに関するものであり、第2ボタンの短押し・長押しにより推薦色の登録と発光を行う構成が特徴である。 【争点】 主な争点は、(1)被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(構成要件B・H・J3・J4・Kの充足性及び均等侵害)、(2)無効の抗弁の成否(実施可能要件違反、サポート要件違反、明確性要件違反、新規事項の追加、分割要件違反、新規性欠如、進歩性欠如)、(3)損害額である。特に中心的な争点は、構成要件J3及びJ4における「前記第1所定入力」の解釈であり、原告はJ3(推薦色の記憶)とJ4(推薦色での発光)で異なる入力方法(長押しと短押し)であってもよいと主張したのに対し、被告は「前記」の文言から同一の入力方法を意味すると主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。まず構成要件J3及びJ4の充足性について、「前記第1所定入力」は「短押し」又は「長押し」のいずれか一方の入力方法を指し、J3とJ4における「前記第1所定入力」は同一の入力方法を意味すると解釈した。その上で、被告製品1及び2は第2ボタンの「長押し」で登録色を記憶し「短押し」で発光させるため、J3の第1所定入力が「長押し」であるのにJ4では「短押し」で発光しており、構成要件J4を充足しないと判断した。被告製品3及び4については、登録色で発光させるためにモードの切替操作を要し、第2ボタンの第1所定入力の検出のみで推薦色を発光させるものではないとして、同様に構成要件J4を充足しないと判断した。さらに、サポート要件違反についても、本件明細書には推薦色の記憶と発光について第2ボタンの異なる入力方法による構成のみが記載されており、同じ入力方法による構成については記載も示唆もないとして、サポート要件を充足せず本件特許は無効審判により無効にされるべきものと認め、原告は本件特許権を行使できないと結論づけた。