損害賠償請求、債務不存在確認請求事件 投稿記事削除請求反訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和3(ワ)33644等
- 事件名
- 損害賠償請求、債務不存在確認請求事件 投稿記事削除請求反訴事件
- 裁判所
- 東京地方裁判所
- 裁判年月日
- 2025年3月14日
- 裁判官
- 勝又来未子
AI概要
【事案の概要】 本件は、面会交流問題等に関するウェブサイト(本件サイト)を管理・運営する原告と、弁護士である被告C及びその夫で同じく弁護士の被告Dとの間の紛争である。原告は本件サイトにおいて、被告Cが作成・販売する「説得力アップブック 面会交流制限編」(面会交流調停において同居親向けに話し方のノウハウ等を解説する書籍)を「面会交流阻止マニュアル」などと称し、被告らが親子の引き離しにより不当に利益を得ているとする記事を多数掲載した。本訴において原告は、被告らに対する著作権侵害や名誉権侵害等に基づく損害賠償債務の不存在確認を求めるとともに、被告Cが自身のブログに掲載した記事が不正競争防止法上の不正競争に当たるとして150万円の損害賠償を求めた。反訴において被告らは、原告に対し、名誉権侵害を理由とする記事の削除・掲載差止めを求めるとともに、被告Cが原告に対し慰謝料160万円の支払を求めた。 【争点】 (1) 本訴請求に係る訴えの適法性(債務不存在確認の対象の特定及び確認の利益の有無)、(2) 原告の記事掲載による著作権侵害及び名誉権侵害の成否、(3) 名誉権侵害が認められる記事について違法性阻却事由(真実性・公益目的)の有無、(4) 記事の削除及び掲載差止めの必要性、(5) 被告らに生じた損害額、(6) 被告Cのブログ記事の掲載が不正競争に該当するか。 【判旨】 裁判所は、まず訴えの適法性について、内容が不明な記事に関する債務不存在確認請求は訴訟物の特定が不十分であるとして却下したが、被告らが損害額を具体的に主張した債務については確認の利益を認めた。著作権侵害については、被告C作成の主張書面案は著作物に該当し、原告がその全文を本件サイトに掲載した行為は著作権法32条の引用にも41条の時事の事件の報道にも該当せず、公衆送信権侵害が成立すると判断した。名誉権侵害については、本件記事2から17(15を除く)のうち被告らの社会的評価を低下させる事実の摘示があるものについて名誉権侵害の成立を認めた。違法性阻却事由については、説得力アップブックの実際の内容を検討した結果、同書籍は子の利益を重視する裁判所の判断基準を踏まえた説得的な主張方法を教えるものであって、面会交流を不当に阻止する方法や虚偽の説明を勧めるものではないと認定し、原告の記事が摘示する事実は真実とは認められないとして違法性阻却を否定した。記事の削除及び掲載差止めについては、被告らの弁護士としての社会的評価の下落や業務への影響を考慮し、原告が過去に仮処分命令の執行を逃れるためサーバーを変更して記事掲載を継続した経緯も踏まえ、削除及び複製の掲載差止めを認めた。損害額については、著作権侵害による使用料相当額50万円、被告Cの名誉権侵害による慰謝料合計100万円(反訴請求分)等を認定した。他方、被告Cのブログ記事については、原告が仮処分命令の存在を認識しながらサーバー変更により著作権侵害行為を継続した経緯に照らし、記事内容は虚偽とは認められないとして不正競争の成立を否定し、原告の損害賠償請求を棄却した。