AI概要
【事案の概要】 原告(山崎実業)は、液体石鹸ディスペンサー用容器に関する意匠権(意匠登録第1707515号)を保有しており、被告(アスベル)が製造販売するディスペンサー容器(品番5205)が同意匠権を侵害するとして、意匠法37条に基づく製造販売等の差止め・廃棄、及び民法709条に基づく損害賠償金2697万円の支払いを求めた事案である。原告の意匠は、上面に開口を有する縦長角丸正方形筒状の容器本体と着脱可能な蓋から成り、背面にマグネットを貼り付けて壁面に取り付けられる構成を特徴とする部分意匠である。 【争点】 (1) 本件意匠と被告意匠の類否(争点1) (2) 被告意匠が本件意匠を「利用する」(意匠法26条)関係にあるか(争点2) (3) 損害額(争点3) 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。争点1について、裁判所は、本件意匠の要部を判断するにあたり、出願時点で縦長角丸正方形筒状の容器本体や着脱可能な蓋、背面へのマグネット貼付けといった構成がいずれも公知であったことを認定し、需要者が最も注意を惹かれる部分はマグネットを含む容器背面(壁取付面)の具体的形状であるとした。その上で、本件意匠では壁取付面の略全体に縦長長方形シート状のマグネットが配置されシンプルですっきりとした印象を与えるのに対し、被告意匠ではマグネットの上下に防滑シートが接して配置され突出部が「I字」状となっており、凸凹のあるしっかりとした印象を与えるが、すっきりとした印象は受けないと評価した。このように要部において顕著な相違があり、両意匠は全体として美感を異にするとして、類似性を否定した。争点2についても、意匠の特徴部分において両意匠が相違している以上、被告意匠が本件意匠の特徴を破壊することなく包含しているとはいえないとして、利用関係の成立を否定した。