AI概要
【事案の概要】 被告人は、Aと共謀の上、令和5年10月4日、名古屋市内の被害者方において、被害者(当時42歳)の死体を毛布で包んだ上、クローゼット内に隠匿して遺棄したとして、死体遺棄罪で起訴された。Aは、同年9月29日に被害者とのSMプレイ中に首を絞めて死亡させたと供述しており、10月4日に被告人と共に被害者方を訪れた際、被告人が遺体の隠匿を手伝ったと主張していた。 【争点】 被告人がAと共謀して死体遺棄行為を行ったか否か。検察官はAの供述に依拠して被告人の関与を主張したのに対し、弁護側はAの供述の信用性を争った。 【判旨】 裁判所は、Aの供述の信用性について以下の観点から慎重に検討し、合理的疑いが残ると判断して無罪を言い渡した。 第一に、Aの供述者としての属性について、被害者死亡後に救命措置を取らず財産を持ち出して換金し、被害者の生存を装う偽装工作を行っていたことから、Aが貴金属奪取目的で殺害した可能性が否定できず、死体遺棄についても虚偽供述の可能性がある。第二に、Aは被告人(ホスト)に対する強い独占欲を持ち、逮捕後に被告人への不満を抱いていたことから、被告人を巻き込む動機があった。第三に、死体遺棄行為は10月4日ではなく9月29日にAが単独で行った可能性も否定できず、Aが単独遂行不可能とする検察官の主張はその前提自体に疑問がある。第四に、Aの供述は捜査段階で変遷を繰り返しており、共謀の根幹に関わる部分でも変遷が認められた。さらに、Aの供述する遺体の移動方法は室内のスペースと整合せず、出会って3か月程度のホストと客の関係で被告人が容易に手伝いを了承したという点も不自然であるとした。以上を総合し、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡した(求刑:懲役1年6月)。