賃料等履行請求(住民訴訟)事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 熊本県南阿蘇村の住民である原告が、同村の副村長Aが平成31年4月から令和5年3月まで、村立学校教職員住宅に賃料を支払うことなく居住したことは違法であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、村の執行機関である被告に対し、A副村長に賃料合計81万6000円の不当利得返還請求をするよう求めた住民訴訟である。A副村長は熊本地震からの復興のため熊本県職員から南阿蘇村副村長に招へいされた人物であり、前任の副村長も同様に村が用意した住宅に無償で居住していた。 【争点】 A副村長の教職員住宅への無償居住について、南阿蘇村がA副村長に対する不当利得返還請求権を有するか。具体的には、①A副村長の入居資格の有無、②賃料免除の適法性が争われた。 【判旨】 裁判所は、請求を一部認容し、48万円の限度で被告にA副村長への支払請求を命じた。まず、本件住宅は行政財産(公用財産)に該当し、被告が主張する教職員住宅としての用途廃止については、村長の決裁がなされた証拠がなく認められないとした。入居許可については、令和3年度及び令和4年度の入居許可は、村長の合理的裁量の範囲内であり適法と判断した。しかし、平成31年4月から令和3年3月までの期間については、村長が条例等に基づく入居許可の手続を執った形跡がなく、黙示の許可があったとも認められないとして、この期間の入居は適法な許可に基づかないものと認定した。賃料免除については、令和3年度及び令和4年度の免除は、復興途上にある村が村外から副村長を招へいする必要性等に照らし、裁量権の逸脱・濫用には当たらないとした。以上から、入居許可のない平成31年4月から令和3年3月までの賃料相当額48万円(月額2万円×24か月)について不当利得返還請求権が認められ、村はその行使を違法に怠っていると結論づけた。